このコロナ禍で売上確保に苦労している企業も多いかと思います。手元資金を確保するためには「融資」を受けることが一番の手段になります。
しかし、同じ「融資」でも資金確保には様々な手法があります。今回は「コミットメントライン」という融資手法の提案が銀行から増えてきているお話をさせて頂きます。
コロナ禍の中で大企業が手元資金を確保するために、メガバンクに手元資金を確保するために「コミットメントライン○○億円を設定した」などのニュースを見た方もいるかと思います。
コミットメントラインとは、企業が銀行から○○億円等の資金を自由に使える極度枠を与えてもらうことを言います。(期間は基本的に1年で金額も含めて1年後に見直しというケースが多いです)
極度枠いっぱいにお金を使うことも自由ですし、今は手元資金があるので敢えて極度枠を使わないのも自由です。
「コミット」とは「約束」の意味で、銀行がその金額を企業に供与することを約束するものです。
一般的な「当座貸越」では使った分の金額と期間に応じて「利息」を支払うことになります。「コミットメントライン」でも使った分の「利息」を払うのは当然ですが、極度枠を仮に使わなかったとしても「コミットメントライン」では「手数料」を支払う必要があります。
「手数料」とは約束した金額を使う権利を企業に供与する対価として支払うものです。つまり、借りていなくても「安心料」として「手数料」を払うわなければなりません。
また、コミットメントラインは通常の当座貸越契約にコミット契約をすることから「組成料」が発生するケースもありますので、コストの観点から言えば、通常の「当座貸越」よりは高くなるイメージです。
(あくまで企業の信用力と連動するので、金利とのオールインコストとの比較が必要です)
大企業ならともかく、なぜ中小企業に対して、通常の「当座貸越」ではなく、「コミットメントライン」の提案をしてくるのか?
勘の言い方はすぐに気づいたと思いますが、銀行の狙いは「手数料収益」です。
「利息」だけでなく「手数料」も得たいがために、提案してきていると思います。
以前にもお話しした「社債」の提案と同じ理屈です。
ただし、コミットメントラインでは「コベナンツ契約(財務制限条項)」も併せて入れてくる可能性もあることからよくよくご検討してください。
過去のバックナンバーも参考にしてください。