前回から「銀行保証付き私募債」(以下社債)のお話をしていますが、今回は、社債のデメリットについてお話をさせて頂きます。
社債を提案してくる担当者が良く口にする言葉が
「中小企業が社債を発行していると、周りからの評価が上がりますよ!」ですが
これは本当でしょうか?
確かに、どの企業でも社債が発行できるわけではありません。
銀行が償還について投資家に「保証」をつけることから、ある程度の信用力がなければ発行はできないのも事実です。
しかし、15年~20年前では「社債」を発行している企業も珍しかったことから、周りの評価が上がるというのも一理あると思いますが、今ではかなりの数の企業が発行していますし、社債だから特別感も正直ないと感じます。(あくまで個人的な見解ですが)
つまり、「社債だからわが社は特別!」といったものは自己満足といっても過言ではないのです。
社債は通常の長期借入と同じように元金の返済がついているのが一般的です。(期限一括型もありますが)
もし、資金繰りが厳しくなって「リスケジュール(以下リスケ)」をせざるを得ない状況になった時、通常の「長期借入」であれば銀行の了解が取れれば、返済条件の変更が可能です。 しかし、「社債」となると、貸出している企業への債権は、実は投資家に売却していることから、簡単に「リスケ」ができないのです。
社債のリスケを実施しようとしたら、投資家に売ったその社債分をいったん銀行が買戻し、通常の「長期借入」にシフトさせる手順を踏まなければなりません。(投資家に対して、償還の保証をしているためです)
また、発行企業は銀行に対して「買戻しにかかる違約金」を支払う義務を負うことになります。
つまり、社債の償還ができなくなると、通常の長期借入以上の手間とコストがかかってしまう!ことをよく認識しておく必要があります。
今までの話をまとめると
社債発行に際しては
このような中小企業であるならば、断る必要はないと思いますが、きちんと「デメリット」の部分も理解した上で取り組まれることを強くお勧めします。