『銀行から「当座貸越」の提案が来たけど、うちの評価はどうなのかな?』
といった質問がクライアントからありました。
今回は「当座貸越」について企業側からの観点と銀行側からの観点でお話をさせて頂きます。
当座貸越はイメージとしては「カードローン」と思ってください。
例えば、極度10,000千円の範囲内であれば、10,000千円まで借りてもいいですし、全く使わなければ利息もかからない商品です。
商品タイプとしては2種類あります。
もしもの時に資金調達の保険としては、適していると思います。その極度額は借りる企業の運転資金の額や、財務内容によって変わってきます。
しかし、極度額を供与するので、一定の信用力の高い企業でないと組成できないものです。
大まかなイメージとしては、信用格付けで言うと最上位を「A」とすれば、「C」以上のランクの企業に適用されるといってもいいでしょう。
当座貸越の更新は6ヶ月~1年ごとになります。稟議の期日が来たら「更新の是非」及び「金額の妥当性」について審査がされます。
もし、売上が減少していて、「所要運転資金の額」が減っていると判断されると、当座貸越の極度枠を減額される可能性があります。
たとえば、当初10,000千円の極度額が5,000千円になることも可能性としてはありえます。
その際に、10,000千円の極度一杯に借入をしていて、5,000千円に極度枠が下げられたら、残りの5,000千円は一括で返済するのが原則です。
ただし、いきなり5,000千円も手元に資金がないことが多いでしょう。その場合は、5,000千円を長期借入に切り替えて、徐々に残高を減らしてく手法もあります。
つまり、当座貸越の金額はあくまで「運転資金」の必要な範囲内にある!と認識してください。
極度額が10,000千円あるから、フルに使うのはもちろん自由なのですが、ずっと10,000千円を使ったままの状態(これをベタ借りと言います)にするのは好ましくありません。
稟議の更新の際に、「極度利用状況」がデータであがりますが、「ベタ借り」の状態ですと、「実質長期借入」と見なされる可能性があります。
さらに、さきほどお話した運転資金の減額対応をされた場合に、減額分を返済しなければならないことも起こりえます。
極度の利用については、「借りたり、返したり」の「弾力運用」をしていくのが、当座貸越の賢い使い方です!