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【銀行融資ブログNO.22】コベナンツ融資が増加している背景は

2016/03/07

コベナンツ融資という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
日本語に直すと「財務制限条項」付き融資と言われております。最近、このコベナンツ融資が中小企業に拡大されてきている状況です。この背景にあるものは何があるのかについて、今回はお話させて頂きます。

コベナンツ融資とは

銀行と債務者との間では、原則として「銀行取引約定書」たる貸し手と借り手の間に基本的なルールがあります。このコベナンツ融資では、「銀行取引約定書」の他に、お互いの取り決めを交わすものです。

取り決めの例を挙げると

  1. 「報告・情報提供義務状況」
  2. 毎月の試算表の提示や資金繰り表などの財務資料を提出し、報告してもらうこと
  3. 「担保制限条項」
  4. 会社の資産を勝手に債権者に担保に出してはいけない。担保提供する場合には事前に相談し了承を得ること
  5. 「資産譲渡制限条項」
  6. 会社の資産を勝手に売却してはいけない。売却や処分をする場合には事前に相談し了承を得ること
  7. 「格付維条項」
  8. 銀行の信用格付けが今よりも下がらないようにすること
  9. 「財務制限条項」
  10. 純資産の維持や○年以内に営業利益をいくらにする。流動比率を○%維持するなどの財務指標のノルマを定める

などの様々な条項があります。

上記の全てが制限されているケースもあれば、⑤だけを条件にするケースもあり、これは銀行債務者側との協議の上で決められます。もし、条項に違反した場合には期限の利益を喪失して一括返済を求めることも可能なものもあります。

これまでは、このコベナンツ融資は、中堅大企業に対しての融資に多くみられていましたが、最近では中小企業に対しても、取り組み件数が増加してきております。では、なぜ取り組み件数が増加してきたのでしょうか?

中小企業へのコベナンツ融資が増加しているのは、銀行のリスクテイクの姿勢の変化がある

最近では特に信用金庫業界でコベナンツ融資の取り組み件数が増加しております。

これまでの中堅大企業向けのコベナンツ条項には違反した場合の「ペナルティ」としての要素が強かったのですが、中小企業に対しては、例えば、3年以内に営業利益を黒字化させてくださいとか、純資産を維持してください、などの経営が苦しい企業に対して応援する意味の側面があります。

また、約束が守れなかった場合には、「全額返済」ではなく「金利を○%に引き上げます」といった形にし、それまでは「逆に低い金利で再建を応援します」といった「支援型コベナンツ融資」に変わってきております。

これは、銀行が「リスクをとったうえでも中小企業を応援していこう」とする流れが出てきていると解釈していいと思います。

皆様においても、この「支援型コベナンツ融資」を提案される機会があるかもしれません。提案された場合には「制限条項」の中身をよく吟味して頂くのが前提にありますが、積極的に利用されることをお勧めします。

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