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【事業再生ブログNO.87】「社債」のリスケは恐ろしいことになるのを知っていますか?

2023/02/01

近年、銀行から借入形態を「社債」で提案してくるケースが増えております。

銀行の狙いはただひとつ「手数料収益」「保証料収益」を獲得するために、わざわざ「社債」形式で提案してきます。では、通常の「長期借入」ではなく「社債」をリスケジュールすることは可能かどうかご存知でしょうか?

今回は社債をリスケするとどういう事態になり、どんなデメリットがあるのか?についてお話しします。

社債は「全て銀行都合」かつ企業に「メリットはない」

社債については以前にも本ブログにてお話をしておりますので参考にして下さい。
銀行融資ブログNO.39】銀行から社債の提案が来たら受けますか??(その1)
銀行融資ブログNO.40】銀行から社債の提案が来たら受けますか??(その2)

冒頭にも触れましたが、銀行が社債を提案する最大にして唯一の理由は「手数料収益」です。

例えば、普通に長期借入金で100,000千円 期間5年(期限一括返済)金利2.0%での融資を行った場合、銀行の年間金利収益は2,000千円になります。

では、同じく100,000千円を期間5年(期限一括返済)の「社債」で以下の条件で借り入れしたとします。

〇発行手数料 0.7%
〇銀行保証料 0.5%
〇金利    0.8%

銀行が得る収益は

〇社債発行日に「発行手数料0.7%」+「保証料 0.5%」分=1,200千円
〇年間金利収益 800千円

になりますが、発行日即日に1,200千円の手数料収益が支店にカウントされます。支店の狙いはこの即日手数料収益なのです。(当然ながら銀行の2年目以降の金利収入は800千円になります)

社債をリスケするとどうなるか?

社債はプロ投資家に対して銀行が元利償還の保証を付けて発行しております。
つまり、投資家に対しては銀行が償還の責任を負うことになります。債務者が定められた利息・元金の返済が行われない場合は、銀行が債務者に代わって利息・元金を支払うことになります。

最終償還前に定められた償還が行われない場合には、投資家から銀行が社債の買戻しを行います。

買戻しが完了するまでに、銀行が投資家に支払った分については、債務者に対して「仮払勘定」を発生させ、最終的には「長期借入金」にシフトさせることになります。

ただ、問題なのは、投資家に対しては期限前の買戻しを行う場合に「ペナルティ」を支払うことになりますので、その分は債務者に請求されることになります。
「ペナルティ」の金額は発行時と買戻し時の市況によりますので、一概には言えませんが、金利換算すると普通に長期借入であれば「2.0%」で済むものが金利換算で「5.0%」になるケースもあります。
(元金+金利+違約金が長期借入金シフト時の元本になります)

つまり、社債は債務者にとって「百害あって一利なし」なのです。


最近では「SDGS」などの流行りでひっかけて、手数料をSDGS事業に寄付します等の誘い文句で提案してくるケースを多く見ますが、私としては「普通に長期借入金」で借りることがベストだと思っております。

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