前回から経営改善計画書(以下計画書)の作成方法について説明してます。
前回は
〇金融機関の為ではなく自身の為に作ることを念頭におくこと、つまり、金融機関の求める数値から逆算した計画は無意味である。
〇数値計画を作る前に、まずは自身を客観的に評価すること、つまりSWOT分析はマストである。
ことをお話ししました。今回は前回の話を踏まえて、具体的な売上計画の策定についてお話をします。
売上計画は計画策定作業のの「80%」を占めるほど大事
よく目にする計画書では年間の売上計画に対して、「売上1行」で終わり、その中身について「誰に何を何月にいくら売るのか」が具現化されていないものが多く見受けられます。
なぜ、そのような「売上1行」で終わっているのか?
その理由の主たるものは私の経験上、以下のものがあります。
- 自分で作れないから税理士にお願いする→税理士も経営者と密に話をしていないから形だけの数字で終わる
- 「計画書」は金融機関がうるさいからとりあえず作る→自分の為と思っていない
- 前年比より増やしておけばいいだろう→将来の売上なんてわからない
- どうせ計画通りにいかない→最初から計画策定の意味が分かっていない
では、どのように売上計画を立てるべきか
- 売上をできるだけ細分化させる(部門別・商品別・営業所別・工場別など)
- 前年数字はあくまで参考値とし、どこに何を何月にいくら売るのか?月ごとに作成する
- まずは、楽観的数字ではなく手堅い保守的な売上を立てる
つまり、売上は積み上げ・積算方式で組んでいきます。積み上げで行うことで、売上計画の具現性が出来、金融機関への説明の際にも「売上明細」を出すことで説得力が増します。
原価率の設定もグロスでやってはいけない
売上計画が決まったら、次は「原価率」の設定を行います。原価には業種によって様々な要素がありますが細かいところを追いすぎると「木を見て森を見ず」になりますので、主要な原価部門を抽出すればOKです。
例えば売上の数字に必ず連動する「変動費」を切り出します。
- 材料・商品仕入れ原価
- 外注費原価
- 運賃・梱包費原価
このぐらいを網羅できればいいと思います。製造業では「労務費」「減価償却費」「修繕費」などが原価にありますのが、こちらは「固定費」の要素が強いので横並びの数字でもOKです。
上記の「変動費」を策定した売上の「商品別」「事業所別」「工場別」などのカテゴリーに対して平均原価率を設定すれば、グロスで出す原価率よりも実態に近い原価率が表現できます。
面倒な作業に見えますが、計画書策定には、この作業は不可欠であることをよく覚えておいてください。