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【事業再生ブログNO.85】経営改善計画書の作成はどのような手順でやればよいか?(その1)

2022/10/15

コロナ融資の返済が始まり、コロナ前の既往借入分の返済と合わせて返済負担が増加している企業が多く、売上回復がままならない中で、材料費高騰のダブルショックで資金繰りが厳しくなってきております。私のHP記事でも「リスケ」に関する閲覧数が急増しており、リスケを本格的に考えている経営者が増えてきていることが想像できます。
リスケに際しては「経営改善計画書」の策定が必須になっておりますが、実際に経験がない方(経営者はもちろん会計事務所も同じく)が策定した計画書は「血が通っていない絵空」の計画書になっているケースが非常に多いです。
今回から2回に分けて、「経営改善計画書」の作成手順についてお話をしていきます。

改善計画書は金融機関の為に作るものではない

まず最初に「経営改善計画書(以下計画書)」はリスケをお願いするために金融機関のために作成すると考えている方が多いと感じてます。
「リスケ」を通してもらいたので面倒だけど作成しなければいけない
この考え方が根底にあるので将来の収支計画について金融機関が求める以下の2つの指標に縛られている方が多いのが現実です。

  • 債務超過は5年以内に解消する
  • 事業計画最終年には実質長期負債返済年数が10年以内に収まるようにする
この指標から「逆算した」収支計画を作成しているケースが非常に多く見られます。
過去に何年も赤字を続けている企業が5年以内に債務超過を解消するのは現実的でしょうか?もちろん達成できる企業もあると思いますが、まずは計画書を作成するのは金融機関の為ではなく、自身の再生のための航海図であることを認識することがスタートです。
つまり、銀行側の求める指標に合わせるのではなく、自身がどうしたいのかの「意思」を数字で表現するものだと理解してください。

「SWOT分析」なき計画書は意味がない

計画書でよく見られるのが全体の「売上が年々〇%増加する」数字の立て方です。これには何の根拠もなく、どの部門の売上をどう増やしていくのか?の具体性が乏しい計画と言えます。
また、粗利益率の設定についても「外注費抑制」だけで年々原価率を低減させていく計画もよく見ますが、何の売上に対する原価率を下げていくのか等々の具体性が乏しいと言えます。

具体性を持たせるには一言で言えば「SWOT分析」が必要です。

S(強み)→自社の製品・サービスは何が支持されて売れているのか?
W(弱み)→今苦境に陥ってる要因は自社のどんな弱点が表面化しているのか
O(機会)→新商品・新サービス・新規顧客を獲得する余地がどこにあるか
T(脅威)→外部環境(感染症・円安・物価高)の変化は自社にどう影響するのか

この作業こそが計画書作成の50%を占めると言っても過言ではありません。
慌てて数字を考える前にまずは自身を客観視することが計画書作成の近道なのです。

次回は売上計画の立て方及び原価率の設定方法についてお話をさせて頂きます。

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