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【銀行融資ブログNO.82】「ABL融資」の提案が急増することが予想されます!

2020/07/01

コロナ禍で企業の業績が大きく下振れするなかで、企業としては「資金調達が何より優先」になっていると思います。業績下振れにより、損益が赤字に陥っている企業も続出していることもあり、コロナ特別融資だけでは資金手当てが足りない可能性もあります。
今回は、そういう状況下で、金融機関から「ABL融資」の提案が増えてくるとの予想のお話をさせて頂きます。


ABL融資については過去のバックナンバー記事もご参考にしてください。

【銀行融資ブログNO.34】ABL融資とは何かご存じですか?(その1)
【銀行融資ブログNO.36】ABL融資とは何かご存じですか?(その2)

ABL融資は財務内容が弱い企業にこそ提案されるもの

ABL融資とは不動産等の「固定資産」を担保にするではなく、売掛金や在庫、機械等の「流動資産」や「動産」を担保とし融資を行うスキームです。

通常期で企業の業績が安定していれば、何も担保を提供することなく無担保にて融資を受けられるのです。
しかし、赤字が続いている、純資産がマイナスに近い企業になると無担保での融資が難しくなり、企業としても資金調達をどうしてもやりたいことから、売掛金や在庫を担保にしてまで融資を受ける・・これが「ABL融資」の背景になります。

つまり、コロナ禍の状況になると、無担保での融資が難しい企業が多くなることが予想され、金融機関としても「ABL提案を行ってくる」はずなのです。

ABL融資を受けるぐらいなら「リスケ」するべきでは

以前にもお話ししましたが、私個人的には「ABL融資」反対派です。

大きな理由としては、「売掛金」「在庫」は企業の最後の生命線だからです。

万が一、破産申し立てをする事態になり、弁護士費用や裁判所費用が手元にない場合、近い将来の売掛金回収代金や在庫換金等で工面できるケースがあるのです。
売掛金や在庫を担保に出してしまうと、最後の生命線を金融機関に握られてしまい、資金工面が全くできなくなる可能性もあるのです。

そこまでのリスクを犯してABL融資をするぐらいなら、既存借入金のリスケジュールを行い、抜本的な事業改善を行うほうがはるかに健全だと思います。

もちろん、リスケをすれば、原則的に新たな借入ができないデメリットはあるものの、上述したようにABL融資の提案を受ける企業は既に新たな借入が難しいに等しい状況なので、リスケをすることと同等の状況にあるとも言えます。

今後、金融機関からABL融資の提案が来た場合には、メリット・デメリットをよくよく考えた上で検討してください。

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