皆さんは「ABL融資」という言葉を耳にされたことはありますか? ABLとは「Asset
Based Lending」の略語で日本語にすると「資産を裏付けとした融資」となります。
もっと分かりやすく言いますと、「売掛債権」「棚卸資産」「動産」を担保とする融資のことです。
「不動産」等の固定資産を担保とした融資と違い、動きのある「流動資産」や「機械など」の動産を担保とした融資が最近、多く広がってきております。
なぜ、この「ABL融資」が広がってきているのか?そして導入する際にの注意点について2回に分けてお話をさせて頂きます。
ABL融資とは、さきほどお話した「売掛債権」「棚卸資産」「動産」を担保とした融資です。正常な運転資金を算出する際の計算式(売掛債権+棚卸資産―買掛金)のなかにある「売掛金」及び「棚卸資産」を担保とするので、ABL融資=運転資金融資と言っていいでしょう。
運転資金として融資を受けるのは、ABLを利用しなくても、通常無担保で借りることももちろん可能です。出来ることなら運転資金は、「無担保」「無保証」で借りることがベストでありますが、財務内容に問題があるとか、無担保では借りられない企業がABLを利用するケースが今は多い状況です。
ABL融資は今新しく始まったものではなく、保証協会では平成19年より売掛債権担保保証融資制度を実施しておりました。医療機関における「診療報酬債権担保融資」もABL融資の一種です。
では、最近、銀行からABL融資が提案されるのが多くなってきた理由は何でしょうか?
上記のような理由が挙げられます。マイナス金利時代で貸し出し利ザヤが縮小している中でABL融資は貸出ボリュームを増やすには、銀行から見ると都合のいい商品なのです。
ただ、平成19年からスタートしたABL融資がなぜ広がりを見せるまでに時間がかかったのでしょうか?
大きな障害は「担保評価」をどうするか?にありました。
例えば、売掛金が毎月末10,000千円あったとしても、売掛先が多く分散されていると、売掛先の信用力で売掛金の価値も変わってきます。また、毎月売上は変動していくことから、管理をどうしたらよいのかも障害になっていたのです。
今は、評価手法や外部への評価委託をする仕組みが出来上がってきたことも、ABL融資が広がってきた背景にあります。
次回は、借りる側からみたABLのメリット・デメリットについてお話します。