昨年11月4日、金融庁が「事業者を支える融資・再生実務の在り方に関する研究会」を立ち上げました。この研究会ではアメリカをはじめとする諸外国で活用されている「包括的な担保権」を活用した金融サービスを日本でもスタートさせたいととして議論が進められています。
今後、「包括的担保」の言葉がメディアで出てくることが予想されますので、今回は「包括的担保」融資について初歩の話をしていきます。
現在まで、融資の際に担保の対象となっているのは不動産をはじめとした「有形資産」(売掛金・在庫も含む)が中心になっています。有形資産は第三者からの価格算定が可能であることから換金性が高い資産と言えます。
一方、「包括的担保」の対象資産とは
こういった目や数字で見えない企業の「知的資産」=「潜在力」を評価し、融資を行うことを意味します。以前にもお話ししました「事業性評価」と同義語と言えます。
例えば、
こういった企業に対し、会社が生み出すキャッシュフローの源泉たる「知的資産」に担保権を設定し融資を行うことです。
まだまだ担保権の設定はどうするか?銀行はどう評価するのか?など検討課題は多くありますのが、資産が乏しいが資金が必要な会社にとってみれば朗報だと思います。
さきほどお話しした「包括的担保」の対象資産については、貸し手である銀行が独自に評価を行うのはかなり難しいでしょう。なぜなら銀行が貸出先の企業の隅から隅まで数字以外の部分を理解しているとはとても言い切れないからです。
(理解していないから、今まで数字に依存した審査を行っているとも言えますが)
金融庁もその点については認識をしており、「包括的担保」融資のカギは企業側からの情報発信努力が不可欠と言っています。
そのためには企業側は何をしなければならないか?
ずばり、経済産業省が推進している「ローカルベンチマーク」を企業側で作成し、数字に見えない「知的資産」を文字で表現し「可視化」させることです。※認定支援機関の皆さんにとっては「プレ405事業」になります。
今後、「事業性評価」業務の重要性はより高くなり、コロナ禍で傷を負った企業に対しても救世主になる可能性もありますので、是非自身の潜在能力を「可視化」させましょう!