コベナンツ融資を提案されたら「保証人解除」を申し出るべし
以前、「コベナンツ(財務制限条項)融資」についてお話をしました。
最近、コベナンツ融資が広く使われてきておりますが、さらに銀行交渉力を高めるために「連帯保証人」の解除を絡めた交渉をについて今回はお話をさせて頂きます。
コベナンツ条項にはいろんな種類がありますが、主としてあるのは業績に関わるコベナンツ条項になります。
例えば
などなどがあり、いずれも信用格付を「正常先」に維持するために必要な条項です。
ほかには大きな資産の取得・処分の場合は事前報告を求めるとか、役員人事の報告とか、定例的に業績の報告を求めるなどありますが、これは大した話ではありません。
逆の言い方をすれば、この条項に触れる事態になると「要注意先」に陥る可能性が高くなるということです。
とすれば、この条項を順守している状態であれば「正常先」となることから、「経営者保証ガイドライン」の必要3条件にある「会社の資産で負債を賄える」状態にあると言えます。
(わかりやすく言えば、「正常先」=「実質の純資産がプラス」ということです)
つまり、正常先であれば、「債務保証」を外す可能性が高くなると言えます。
(厳密にはこれだけでは全ての要件を満たしてはおりませんが)
一方、「無保証人」にする代わりに、このコベナンツ条項を順守してくださいね!とする契約方式もあります。
条項の内容はさきほど挙げた例と被るところも多いです。(要は「正常先」を維持してって意味です)
この条項に抵触してしまったら「代表者の保証を求めます」といった内容の契約になります。
一概には言えませんが、私はコベナンツ融資は「銀行が手数料稼ぎのためのスキーム融資」としてとらえておりません。
貸出金利を安くする代わりに、組成手数料を高くとり、かつ毎年「モニタリング手数料」と称して手数料を取り上げるパターンです。
企業としては、「金利が安くなる」「保証人がない」などのメリットはあるものの、業績を維持するプレッシャーが余計にかかることになります。(もちろん、一般的に経営者として増収増益を目指すことは当然ですが)
何が言いたいかといいますと、中小企業の業績は先が読みにくく、外部環境に左右されやすいことから、目先の金利に踊らされることなく、ノーマルに融資を受けるのが「王道」と思っております。
ただし、もし「コベナンツ融資」を提案されたら、対案として「無保証」にしてくれ!とお願いするのは一理あると思います。