コベナンツ融資の手数料は高いのか安いのか?その対価としてふさわしいのか?
「コベナンツ条項(財務制限条項)付融資」は皆さんは聞いたことがありますか?
最近では、中小企業融資にも多くみられるようになってきております。そもそもコベナンツ融資とは何か?
については、銀行融資ブログバックナンバー(NO.22 2016年3月7日掲載分:【銀行融資ブログNO.22】コベナンツ融資が増加している背景は)を参考にしてもらえればと思います。
今回は、コベナンツ融資には「組成手数料」がかかりますが、それは高いのか?そして対価としてどうなのか?についてお話をさせて頂きます。
これは一概にいくらとはなかなか言い切れません。参考までに私のクライアントで提案のあった事例をひとつご紹介します。
〇金額 270,000千円(設備資金)
〇期間 20年
〇金利 TIBOR+0.4%
この長期融資に対して、以下のような主なコベナンツ条項がついております。
(以下以外にも多く条件がありますが主要なものだけ挙げます)
このような条件にて、コベナンツ手数料は「6,000千円(税抜)」の提案です。さらにこれ以外に契約書作成料として弁護士費用が「150,000円(税抜)」かかります。合計で6,150千円ですね。
これを高いか安いかで考えるときには、金利におきかえてみれば、6,150千円÷20年(返済期間)=308千円ほどになります。
さらに金利におきかえてみると
308千円(年間換算手数料)÷270,000千円(当初融資金額)=0.11%ほどです。
金利におきかえてみれば「安い」と言えます。
手数料を金利におきかえれば「安い」との判断になりますが、前述のコベナンツ条項を見ると
この経営に対するプレッシャーがかかってきます。
要するに「赤字」を2期連続続けけてはいけないことになります。 経営として2期連続赤字は許してはいけないものではありますが、中小企業は特に先が読みづらいので、 ここで必要以上に「拘束」をかけるのは嫌だと思います。
コベナンツ手数料の金銭的な高さや安さだけに目を向けずに、コベナンツ条項の中身との「対価」としてどうかをきちんと吟味していくことが大切になります。