資金繰りが厳しくなってリスケジュール(以下リスケ)を実施した後、晴れてキャッシュフローが黒字化になると次は「いくら返済をするか?」の検討をするはずです。
最近、目にした経営改善計画書(誰が作成したのかはあえて言及しませんが)ではCFの「80%」を返済に回しているのもあれば、CFの「100%」を返済に回しているケースもありました。
今回はリスケの検討事項として重要な要素になる「返済額のコントロール」についてお話しします。
私が目にした経営改善計画書では「CFの80%を返済に充て、20%を手元資金とする」原則が書いてありました。当該会社はリスケをスタートしたばかりで、元金「0」の期間は半年だけで、手元資金や設備投資に回す資金にまだ余裕がない中での返済スタートとなっていました。
手元資金に「20%」しか充当できないと、事業継続のための投資もかなり抑制した形で運営せざるを得ないと思います。
そもそも、リスケを選択した理由は何のかを考えなければなりません。
〇何年も赤字が続き、新たな借り入れが難しくなった
〇赤字経営で資金繰りがきつく、返済原資が確保できない
〇経営改善のために一定の時間が必要で、そこまでは返済を止めないと資金繰りが回らない
などなど、そもそもリスケを選択した大きな理由は「事業継続」「資金繰りの確保」が大きな理由です。
もちろん、銀行返済を再開させることも大事ですが、考える順序は「後回し」だと思います。
では、返済にいくら回したらよいのか?を考える前に、いくら手元資金を貯めたらよいのか?を考えてみましょう。
業種や規模によってその答えは「100社100通り」だとは思いますが、たとえば
〇毎月末の預金残高が月商の1か月分~3か月分は必要
〇今期は設備投資に〇円必要なのでその分の資金が必要
〇今期は人件費増加に備えるために〇円が必要
などなどすべては「事業継続」を最優先とし、その残りで返済する考え方が大事になります。
前述したCFの80%や100%を返済に回している計画書に共通しているのは、銀行融資の知識が乏しく、銀行からの要求や反論に言い返せないために、「銀行がYESと言いやすい内容」にしてしまっているのがほとんどです。
リスケは「銀行のためにするものではなく、経営改善し再生するためにするもの」です。
経営改善計画書を作成する際には、この大原則を忘れないようにしてください。