資金繰りが厳しくなってリスケジュール(以下リスケ)を考える経営者も多いと思いますが、そもそもリスケジュールを行う目的を理解していないケースを多く見ます。リスケを選択しても、資金繰りが回復しないのはそもそも経営改善ができないのが大きな理由になりますが、リスケを選択した以上、新たな借り入れは原則できません。(リスケを行っても資金調達が可能なケースはあります)
今回はリスケを行う上での一番の目的は何かについてお話しします。
こちらのブログでも何度かお話ししておりますが、リスケを決断する理由は「新たな借り入れができない」ことです。
新たな借り入れができない目安はいろいろありますが、一番大切な指標は「実質長期負債返済年数」が10年を超えていることです。
「実質長期負債」=「全ての借入金合計」-「運転資金額※」
※「運転資金」=「売掛金」+「在庫」―「買掛金」
「実質長期負債」÷「直近3期のCF平均値=〇年>10年
となるのが新たな借り入れができるか否かの大きな分岐点になります。
まずは皆さんの直近の決算書から実質長期負債を計算してみて15年や20年以上の数字が出てきたら借入はかなり難しいと考えてください。
ではリスケする目的は、新たな借り入れができないので返済負担を減らすことも、もちろんありますが、一番の目的は「手元預金を回復」させることです。銀行返済を止めることで、その資金を貯めることが一番重要です。
その理由として
〇新たな借り入れができない
〇自己資金にて「設備投資」「人材投資」「増加運転資金対応」を行わなければならない
のです。
そのためには当然ですが経営改善を行いCFを「黒字化」させることが条件になります。いくらリスケをしても赤字が続けば手元資金は減っていきますし、貯金をするためには「黒字化」しなければ、上記の資金需要には対応できません。
では、以下のような状況の場合にはどうしたらよいでしょうか?
〇リスケスタート時の手元資金は「月商1か月分」しかない
〇事業継続のためには年間一定の「設備投資」が必要
〇銀行からは「何年後に返済スタート」できるか具体的な数字を求められている
この場合の優先順位は「手元資金の回復」と「一定の設備投資」を同順位で考えていく必要があります。
そのためには年間のCFを両社に案分していき、手元資金の回復額をいくらに設定するかを銀行に説明しなければなりません。
例えば
〇「手元資金」は月商の「2か月分」は回復させるまで銀行返済は「0」とする
〇同時に事業継続に最低限必要な設備投資は継続させる
〇上記2点を満たし、CFからの余剰分を返済に充当する
このような債務者側からルールを設定していくことが大切になります。
銀行返済は「最後」とし「手元資金の回復」と「事業継続」をまずは最優先にすることをくれぐれも忘れないようにしてください。