ホーム > 事業再生ブログ > 【事業再生ブログNO.96】リスケで手元預金を貯めて設備投資をするのはアリか?

事業再生ブログ
事業再生ブログ

【事業再生ブログNO.96】リスケで手元預金を貯めて設備投資をするのはアリか?

2024/07/15

リスケジュールを検討する状況として「手元資金がなくなってきた」「返済が苦しい」などの理由がありますが、もうひとつの理由としては「新たな借入が難しい」ことがあります。

では新たな借入ができないのであれば、手元資金を増やすために「リスケ」を選択するのはアリでしょうか?
今回は、新たな設備投資を目的として、リスケを選択するのはどうか?について考えてみます。

先日、会計事務所の顧問先から以下の相談がありました。

〇現在は手元預金は十分にある
〇ただし借入の年間返済額とCFの乖離が大きく返済を続ければ手元預金が無くなる
〇1年内に事業拡張のための設備投資を行いたい
〇新たな借入ができるのか不安でリスケにより設備投資資金をプールしたい

このような相談があった場合に皆さんはどのようなアドバイスをされますか?

リスケを安易に選択してはいけない

まず検証しないといけないのは

➀本当に新たな借入が難しい財務内容なのか?
➁リスケをしたとしても、リスケ中に新規の設備投資を許容されるのか?
➂今は手元資金があるのに、どうしてリスケを選択する目的が説明できるか?

この3点を総合的に考える必要があります。

本件の趣旨は、リスケ中に資金をプールし、その資金を設備投資に回し、設備投資終了後にリスケ前の返済額に戻せば、リスケの履歴は無かったことになるのでは?との発想から相談があったものです。

上記➁にある、リスケ中であったとしても自己資金にて設備投資を行うことは可能です。(ただし、銀行には事前に説明が必要)しかし、今現在手元資金がある中で、設備投資資金のプールを目的にリスケをするのは大きな間違いです。

一度、リスケを選択すると「リスケ履歴」は半永久的に残りますし、「リスケをした会社」のレッテルが消えることは、基本的にはありません。

さらに言えば、そのような状況下で本当に設備投資が必要なものなのか?についても自身で再検証が必要だと思われます。

今回の質問に対する私の回答は以下のとおりです。

〇リスケを安易に選択しないこと 〇借換えや資本性ローンの導入など返済額の軽減策も視野に入れること 〇設備投資をしたいなら本業のCF改善策をまずは考えること

リスケを選択してまでの設備投資は本当に必要か

そもそもの話に戻ると、リスケを選択する状況、つまりCFが十分出ていない中で、さらなる設備投資を行ってよいのか?の話も考えなければなりません。

今のCFに陥っている問題点を検証せずに、追加の設備投資に突き進むのは危険ですし、設備投資がCFを増加させる保証はありません。

今回の話の結論としては、「設備投資の為のリスケは間違いであり、設備投資が本当に必要かどうかを今の財務内容等を検証することを踏まえて慎重に判断すべき」だと思います。

ページTOPへ