リスケジュール(以下リスケ)を行うと1年目は「元金0」にするケースが一般的です。2年目以降も業績や資金繰りが回復できずに「元金0」にせざるを得ない企業もよく見ます。ただし、いつまでも金融機関は「元金0」で待ってはくれません。
今回は金融機関はいったいいつまで「元金0」で待ってくれるかをテーマにお話をさせて頂きます。
リスケを始める際に「元金0」にする最大の理由は「手元資金の回復」にあります。
リスケ前までの返済負担を無くし、事業の継続を図りながら経営改善を行っていくのが目的なので、リスケを行う全ての企業が「元金0」で金融機関が合意するとは限りません。
金融機関が、リスケ時に「手元資金が十分にある」と判断された場合は元金の返済をある程度は求められます。
「元金0」でスタートできたとしても、原則論としては「元金0」の期間は1年だと認識しておいたほうがいいでしょう。
元金返済の原資は本業で稼ぐキャッシュフローであるのは言うまでもありませんが、2年目以降はキャッシュフローをプラスにして欲しいのが金融機関の本音だからです。
(ただし、現在の物価高、原油高、円安、人手不足などの環境下ではさらに「元金0」の期間を延長してくれる可能性もあります)
しかし、私のクライアントではリスケスタート時から「3年間は元金0」で金融機関と合意したケースがあります。では「3年間も元金0」で認められた理由はどこにあったのかポイントを挙げてみます。
〇3年間返済を止めないと仕入に必要な手元資金が十分に回復しない
〇中小企業活性化協議会が関与した
〇役員の人数及び役員報酬を大幅に削減した(リスケ前より▲40%削減)
このケースでは活性化協議会が経営改善計画書を策定した(私はクライアントのアドバイザーの立場)のですが、活性化協議会が関与すれば「3年間元金0」でOKという訳ではありません。
最大の理由は「手元資金の回復」にありました。当社はリスケ1年目から「黒字回復」が可能な状態にありましたが、仕入先行型のビジネスモデルであり、仕入れの為の資金を回復させなければならなく、そのために3年間も元金返済をストップせざるを得ない状況でした。
金融機関にとっては3年間も元金を止めるのはイレギュラーであったことから、3年間の時間を得る対価として役員の人数削減及び役員報酬の大幅な減額を「お土産」として差し出したのです。
リスケの契約更新期間は6ヶ月~1年になります。その都度、経営改善計画書に記載したアクションプランの進捗状況を報告しないといけませんが、外部環境の変化のせいばかりに出来るのも「せいぜい1年」が限度と考えておいたほうがいいでしょう。
赤字を2年続けてるようでは、正直、事業を継続する意味が無いとも言えます。
「赤字は1年まで」
「2年目からは黒字」
赤字が癖になり、「負け犬体質」にならないためにも「元金0は1年まで」を強く意識してください。