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【事業再生ブログNO.93】リスケジュール中に返済金額が増えたり減ったりするのは良いのか?(その2)

2023/11/15

前回はリスケ中の返済額の基本形のお話をし、返済開始後のCFの増減があった場合、特に返済額が減少してしまうときに、銀行の担当者は何を考えるのか?についてお話をしました。
今回は、CFが減少、またはCFがマイナスになった場合の対処法についてお話をします。

対処法のひとつはCF〇%の引き上げ

もう一度、前回のCFの変化状況の例を記載しておきます。

返済開始1年目:CF5,000千円→返済額5,000×50%=2,500千円
返済開始2年目 CF10,000千円→返済額10,000×50%=5,000千円
返済開始3年目 CF1,000千円→返済額1,000千円×50%=500千円
返済開始4年目 CF0      →返済額????

返済開始して1年目、2年目では順調にCFが増加し、返済額も増加しているので銀行は全く文句は言いません。しかし、3年目にCFが減少してしまい、返済額も減少してしまっています。

問題になるのは3年目以降になりますが、3年目でCFは減少しているものの、黒字は確保できており元金返済の原資はありますので、この場合は「CFの50%」の基本形を崩さずに交渉をすることをお勧めします。

ただし、「CFの50%」の大義名分としている「手元資金の回復」が達成できている状況であれば、「50%」からの引き上げを銀行から求められる可能性が高いと思います。銀行担当者としては稟議の「お土産」を付けたいので「土産の対価=CFの50%からの引き上げを交渉にて獲得した」と書ければリスケ延長の合意は得られると思います。

それ以外の対処法はあるのか

では、4年目でCFが「赤字」になってしまい、元金返済が「0」になる場合はどうしたらよいでしょうか?
考えられる対処法は

➀あくまで「CF50%」をルールを厳守し、元金返済「0」にて押し通す
➁経営改善計画書を再度仕切り直しで作成し、再計画初年度は元金返済「0」にて再立案する
➂返済額「0」は心苦しく、CF「0」でも最低返済額を自身で決めて、いくらかの元金返済をする

考えられるのは➀~③のパターンになります。

➀の場合、ルールを前面に出す大義名分はありますが、CFがマイナスになった要因や5年目以降の見通しなどをきちんと説明する義務を負いますし、金利引き上げや今後、「CF50%ルール」の見直しを求められる可能性があります。

➁の場合、再度仕切り直しの改善計画書の提出を銀行が拒むことはまず無いと思います。再作成の手間はありますが、4年目に元金返済「0」の対価を得られる可能性があります。

➂の場合ですが、手元資金が回復しているのであれば、私は③をお勧めしてます。では、最低額をいくらで設定したらよいか?になりますが、この例ですと返済開始1年目の「2,500千円」ぐらいのレベルを、まずは考えるのがいいと思います。

仮にCF赤字が2年連続で続いたとしても、2,500千円×2年分=5,000千円については、返済2年目で貯金ができている水準ですので、手元資金にも無理がない範囲かと思います。

ただし、あくまで目安であり、個々の会社の事情によって最低額の考え方は変わってきますので、あくまで考え方のひとつとして参考にしてみてください。

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