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【事業再生ブログNO.91】リスケジュール中に「金利を引き上げて欲しい」と言われたらどうしたらよいか?(その2)

2023/10/15

前回からリスケジュール(以下リスケ)中に金融機関から金利を引き上げたいと言われた場合にどのように対処したらよいのか?についてお話をしております。
前回は金融機関が金利を引き上げる理由は何なのか?についてお話ししました。
今回は金利引き上げの要請に対して、どのように対処したらよいのか?についてお話しします。

リスケは「全行平等」が原則

皆さんは「プロラタの原則」という言葉を聞いたことがあると思います。

「プロラタの原則」とは「返済額」を按分する際に、各借入残高に応じてそのシェアにて按分することを言います。(残高プロラタの場合)
複数の銀行と融資取引を行っている場合は、通常はこのプロラタの原則に従ってシェアに応じて、平等の対応をしなければなりません。

一方、金利についても基本的には平等の対応をするのが基本ですが、実は金利引き上げはどんな貸し出しに対しても行うのかはまた違う話になります。

金利引き上げの対象は保全されていない部分になる

前回にもお話ししましたが、金利引き上げになる理由は「信用コスト」が増えることです。ただ、信用コスト=引当金を増やす対象は「保全されていない部分」になります。では逆に「保全されている部分」とは具体的にどのようなものでしょうか?

〇保証協会の保証がある(100%・80%保証部分)
〇不動産担保でカバーされている(銀行評価額がベース)
〇ABLで売掛金を担保にとって保全されている  などなど

つまり、上記のように「保証」「担保」で保全されていない「裸の貸出」に対して金利を引き上げる必要があります。

さきほど、リスケは全行平等のお話をしましたが、こと金利については、引当コストの理屈から考えると、どの貸出金に対して引き上げざるを得ないのかの背景を理解する必要があります。

金利を引き上げさせないためにはどうしたらよいか

とはいえ、金利は低いほうがいいに決まってます。では金利引き上げの要請に対してどのように対処したらよいかですが、私はよく下記のような言葉を金融機関に返します。

〇特定の銀行から引き上げを言われたら、「金利引き上げを言っているのは御行だけよ」と言い切る
〇金利を引き上げる理由をきちんと聞く(開示債権になったのか否か)
〇金利の引き上げ幅の理屈も聞くこと

つまり

〇複数行の融資取引を行っている場合は「特定」の銀行だけの対応をしない
〇「開示債権」に該当しているのであれば本当にそうなのかの確認をする
〇ただ、リスケの稟議の「お土産」のために金利引き上げを言っている可能性もある

ことを確認する必要があります。

金利を引き上げに対しては、自身の借入の中身(保証・担保)の分析を行うことが大事で、ただやみくもに抵抗しても、交渉がうまくいかない場合もありますし、自身の今後の改善計画の予実対比などの分析も必要になります。

相手(金融機関)と自分(自社)の両方の観点を踏まえた交渉が金利引き上げには必要になります。

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