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【事業再生ブログNO.90】リスケジュール中に「金利を引き上げて欲しい」と言われたらどうしたらよいか?(その1)

2023/10/01

長期間、リスケジュール(以下リスケ)の状態にあると、金融機関から「金利を引き上げて欲しい」と言われることがよくあります。
皆さんは何故、金融機関が「金利を引き上げたい」とお願いする理由が分かりますか?
また、その場合、どのように対処したらよいのか分かりますか?
今回から2回に分けて、リスケ中に金利を引き上げることに対して、どのように対処したらよいのかについてお話しします。1回目の今回は、なぜ金利を引き上げたいのかの理由についてお話しします。

金融機関が金利を引き上げたい理由は何か

リスケ先に対して金利を引き上げたい理由は「信用コスト」が上がっている対価として金利を引き上げるのが一番の理由です。
「信用コスト」とは、債務者の信用格付ランクに応じた貸倒率に対して、引当金を積むコストのことを言います。)

リスケを実施した企業はまずは「要注意先」(経営改善計画書の提出が条件になります)にランク付けされます。リスケ前までは多くが「正常先」に位置しているでしょうから、リスケをすることでワンランクダウンの「要注意先」になります。(もちろん、状況によっては「要注意先」以下になることもあります)

貸倒引当金の積み方(引当率)は金融機関によってばらつきはありますが、正常先で「0.8%」ぐらい、要注意先になると「20%~40%」ほどになり大きく変わります。(あくまで目安です)

つまり、格付けがランクダウンすることで金融機関は引当金という「コスト」を負担することになるので、そのコストを債務者に負担してもらうことになります。

ただし、銀行から金利引き上げの理由でよく言ってくるのが

「リスケ更新が長くなっていることから、事務コストがかかっているので、その手間賃として金利を上げさせてください」

との言葉をよく聞きます。これは理由としては間違いです。なぜなら事務手間賃としては「条件変更手数料」を毎回払っているはずですので、既にその手間賃は賄えているはずです。

「開示債権」になるとさらに金利を引き上げざるを得ない

ただし、リスケが長期間続いていると、「要注意先」からさらに下の「要管理先」や「破綻懸念先」にランクダウンしている可能性も出てきます。

そうなると銀行法では「開示債権」と言われる世間でいう「不良債権」に認定されてしまいます。そうなると、引当コストも当然「要注意先」よりさらに増えることから、債務者に対する金利引き上げの圧力はさらに上がることになります。

また、金利引き上げが達成できない場合は「貸出条件緩和債権」(引当コストに見合わない条件で貸し出しをしている)に認定され、金融機関としてはさらに厄介な話になります。


このように金融機関にも金利を引き上げざるを得ない事情があることを皆さんに理解してもらえればと思います。
次回は「金利引き上げを要請されたらどうしたらよいのか?」についてお話しします。

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