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【事業再生ブログNO.83】リスケ返済は「残高プロラタ」か「信用プロラタ」のどちらが正しいか?

2022/07/15

リスケジュール中に元金返済を行う際に、返済方法として「残高プロラタ」と「信用プロラタ」の2つの方法があります。 どちらも方法としては正しいのですが、金融機関の思惑によりどちらを主張してくるのかは個別事情により異なります。 では、債務者側としては、どちらを主眼に置いたらよいのか?について今回はお話しさせて頂きます。

基本形は「残高プロラタ」にすること

「残高プロラタ」とは借入残高のシェア(割合)に応じて、返済額を按分する方法です。

借入形態は「保証協会保証付き」「プロパー」の二つに分かれます。保証協会保証はさらに保証割合が「80%」「100%」の種類に区分されます。例えば、保証割合「80%」の場合は、残り「20%」がプロパー扱いとなります。
さらに「保全」として「預金担保」「不動産担保」「売掛・在庫担保」「生命保険担保」など保全の有無でもどれだけ「信用」で貸し出しをしているかで各銀行の融資形態が変わってきます。

「残高プロラタ」とは融資形態や保全有無を一切考慮せず、純粋に「残高のみ」で考えるやり方です。

私は「残高プロラタ」を基本線でリスケを行っております。その大きな理由は債務者側としては「借入金がプロパー・保証協会問わず、返済すべき借入金に違いはない」ことです。

「保証協会であれば返済しなくてもいい」理屈はありませんので、基本は「残高プロラタ」にしてください。

「信用プロラタ」を主張してくるケースは保全差が大きいケース

「信用プロラタ」を主張してくる場合は、以下のようなケースがあります。

  • 融資取引銀行数が5行以上あるケース
  • 保証協会融資の割合の差が大きいケース(残高はメインだが全て保証協会など)
  • 不動産担保や預金担保の保全差が大きいケース(メインだけ不動産を抑えているなど)

リスケ前の通常取引の場合は「メインは取引履歴も長いし、しょうがない」で済んでいたものが、リスケになるとそれまでの不満が一気に爆発してくるイメージです。

特に銀行数が多い場合では、下位の銀行はプロパーのみで保全無しで融資しているケースが多いことから下位行から主張してくることもあります。

では、「信用プロラタ」を主張する銀行が出現した場合は、どうしたらよいか?

ずばり

「メイン」「準メイン」の意向に任せることです。

債務者側としては、毎月の返済額が1,000千円だったとして、「残高プロラタ」であろうが「信用プロラタ」であろうが、1,000千円返済することに変わりはありません。

変わってくるのは1,000千円をどの銀行にいくら配分していのかだけです。

つまり、債務者としては銀行の主張の違いは「傍観者」として見守っていればよいですし、メインバンクにそこは意見集約を任せるべきです。さらに、中小企業での隠れた最大債権者は「保証協会」です。
バンクミーティングにおいても「保証協会」にもきちんと参加してもらい、保証協会の意向を踏まえた形で決着させるのが一番スムーズに終わります。(経営サポート会議と呼びます)

リスケジュールの本来の目的は「事業再構築の時間をもらうこと」にあります。


銀行間の思惑に振り回される時間は無駄になりますので、できれば「残高プロラタ」にて進行させてください。

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