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【事業再生ブログNO.80】経営改善計画における売上計画の設定は「積算」が大切(その2)

2022/06/01

前回から経営改善計画書策定のなかでも一番の「肝」となる売上計画の立て方は「積算」が大切であるお話をしております。今回は設定した売上計画をどのように活用していくのか?についてお話しします。

売上を細分化するのはPDCAのため

売上計画を立てるには「大区分」と「小区分」の掛け算方式で立てることを前回お話ししました。

ただ「大区分」はいいとしても「小区分」をあまりに細かく区分してしまうと、策定後の予実管理が大変になってしまう可能性があります。

「小区分」の設定を「取引ごと」にした場合、取引先が20社以上もあると、毎月取引先ごとに実績を入力して管理していくことになるので、計画設定後のモニタリングに負荷がかかります。

そこで私は取引先ごと全てを追わずに、売上の70%ぐらいが網羅できる範囲で追いかけ、残り30%は「その他取引先」のカテゴリーに寄せることもしています。

これは「手を抜いている」というよりも目的は「予実管理」と「行動管理」=「PDCA」にあることから、「木を見て森を見ず」にならないようにするためです。
さらに金融機関に対して、計画値への進捗報告をする際にも、細分化しすぎると資料も大変になりますので、ここはいい意味で「大枠で捉える」ことを念頭においてください。

売上に連動する「変動費」のことも考える

改善計画書の策定では、5ヵ年スパンでの「損益計画」を立てる必要があります。損益を考える際に、一番大切なのは「売上計画」ですが、次に大切になるのは「粗利益計画」になります。

「売上総利益(粗利)」=「売上高」-「原価(変動費)」

になりますが、次に「原価」をどう考えるかになります。「原価(変動費)」を考える際に、生かされるのが「細分化された売上計画」になります。

たとえば

  • 商品ごとでA商品は原価50%、B商品は原価30%
  • A事業所の原価は70%、B事業所の原価は80%

売上区分に応じて、過去の原価率を紐解いてみて想定原価率を算出します。ここで大切なのはきちんと原価管理ができている会社であればいいのですが、これまで原価管理ができていない会社であれば、商品ごとやサービスごとの原価を過去の実績から算出していく作業が必要になります。

さらに、今後原価率の低減を図るために

  • 仕入原価を抑えるために何をしていくか(仕入先変更・値引き交渉など)
  • 売上単価の引き上げを行うにはどうしたらよいか

などのアクションプランを考えることになります。

ここでは詳細な作成方法まではお話ししませんが、売上計画をある程度「細分化」させることで「原価率」の設定方法を考えることになり、さらには「粗利益率」好転の作戦を考えるきっかけにもなります。

「売上計画」を決して雑に扱うことなく、時間をかけることで根拠ある「合理的かつ実現可能」な計画書に近づくことになるのです。

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