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【事業再生ブログNO.74】リスケ中にコロナ融資を受けた企業の返済方法はどうしたらよいか?(その2)

2022/02/01

前回からコロナ前からリスケを実施している先で、新たにコロナ融資を受けた場合の返済方法をどうしたらよいか?についてお話ししてます。
前回は
〇コロナ融資の据置期間延長はリスケ扱いではない
〇コロナ融資の返済は優先弁済となる
の2点について解説しましたが、今回はコロナ前の既往債務の返済はどのように考えたらよいのか?についてお話しします。

返済額を検討する前提はCFである

コロナ融資の優先弁済があっても、リスケ中の返済額の設定の前提は企業が生み出すCF(キャッシュフロー)が前提になります。
キャッシュフローの算出方法は、損益計算書から算出する(税引後当期利益+減価償却費)ではなく、あくまで資金繰り表から導き出すCF(経常収支)が基本計です。

分かりやすく3つのケースで考えてみます。

【ケース1:CF=コロナ返済額】

〇今後1年間の資金繰り表から算出される経常収支が「5,000千円」
〇コロナ融資の年間返済額が「5,000千円」

つまり、CFとコロナ融資の返済額が同額であった場合は、コロナ前既往債務の返済に振り向けるCFは余力がないことから、「0」になります。この場合は、既往債務の金融機関には返済余力がないために1年間の元金を据え置く交渉が必要になります。
これが「優先弁済」の考え方です。

【ケース2:CF<コロナ返済額】

〇今後1年間の資金繰り表から算出される経常収支が「3,000千円」
〇コロナ融資の年間返済額が「5,000千円」

つまり、コロナ融資返済額がCFで足りない場合ですが、これは手元キャッシュが続くまではコロナ融資の返済を続けていきます。当然ながら既往債務への返済は「0」となります。
ただし、このケースでは手元キャッシュが減り続けていくことになりますので、ビジネスモデル等の構造転換の時間が無い場合は、「コロナ融資もリスケする」決断が必要になります。

【ケース3:CF>コロナ融資】

〇今後1年間の資金繰り表から算出される経常収支が「10,000千円」
〇コロナ融資の年間返済額が「5,000千円」

つまり、CFからコロナ返済を引いても、「5,000千円」が余剰になるケースです。この場合に初めて既往債務の返済を検討できます。

ただし、リスケ企業では手元資金を高める手段を新規借り入れに頼れないことから、残り「5,000千円」を全て既往債務の返済に振り向けるのは危険です。

そこで残り5,000千円に対して

〇1年目は「50%」→残り5,000千円×50%=2,500千円をプロラタ按分
〇2年目以降は最大「70%」→残り5,000千円×70%=3,500千円をプロラタ按分

などの自身で返済額の決め方についてルールを作ることが必要です。

リスケ企業の返済額の決め方には決まりはなく、債務者自らがルール設定を行い、金融機関に対して主体的、能動的に働きかけを行っていくことが重要になります。

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