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【事業再生ブログNO.72】「借入金」を「10年」で返済できる改善計画を求められたらどうしたらよいか?

2021/12/01

取引銀行から「借入金を10年で返済できる事業計画を作ってください」と言われたことはありますか?
リスケジュールをこれから行う企業や、既にリスケジュールを実施している企業の方は耳にされたことがある言葉かと思います。
この「10年」で返済できる計画を求める銀行の意図はどこにあるのか?そしてその言葉は正しいのか?について今回はお話しさせて頂きます。

「借入金全て」を10年で返済する必要はない

借入金には「色」があります。「色」とはお金が使われている使途別に借入金の種類があるということです。
具体的には大きく3つの「色」に分けられます。

  1. 運転資金
  2. 設備資金
  3. その他

1.「運転資金」とは銀行が考える運転資金の意味で、どんなに赤字や債務超過の会社であっても事業運営に必要な資金のことを指し、銀行では「売掛金」+「棚卸資産」-「買掛金」の式で算出します。
イメージとしては、今日売上が1,000千円できたけども、入金は60日後だとすると60日間お金は入りません。一方、仕入れした商品の支払が30日後だとすると支払いが先行することになります。また在庫をキープする必要あれば、お金が在庫に変わることになりその分の資金も必要です。
つまり、運転資金とは「収支のギャップを埋める資金」と言えます。
運転資金は「CF」(キャッシュフロー:税引後利益+減価償却費)で返済するものではないので、返済は行わないのが基本的な考え方です。

2.「設備資金」はすぐにイメージがしやすいと思いますが、工場設備や機械、車両などのモノを対価として借入するものです。 基本的には償却年数に対応して「CF」にて長期返済をしていきます。

3.「その他」で一番多い「色」は「赤字補填資金」です。コロナ特別融資も売上減少にて固定費等の資金が賄えないことを補うための融資ですので、「赤字補填資金」に該当します。(コロナ禍でも黒字計上出来ている企業は赤字補填には当たらないかもですが)
「その他」資金についても返済はCFにて行うものですから、CFが黒字にできなければ返済はできないことになります。

CFにて返済すべき借り入れを10年で返す!

さきほどお話しした1.~3.のお金の色のなかでCFにて返済すべきものは2.と3.になります。

つまり、銀行が言っている「借入金全てを10年で返済する」は間違いで、「運転資金を除いた借入金を10年で返済する」が正しい表現です。

「全ての借入金」-「運転資金」=「CFにて返済すべき借入金」

になります。コロナ禍で売上が下がっている企業は「運転資金」の金額も下がっているはずです。

今の皆さんの企業の実態の「運転資金の金額はいくらなのか?」まずはここから考えていくのがポイントになります。

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