資金繰りがきつくてやむを得ずリスケジュールを選択した企業においては、いつどうやったら銀行取引が正常化されるんだろ?と疑問に思う方も多いと思います。
また、「リスケ慣れ」しないためにも「リスケ卒業目標」を立てるために、どの数字がどういった基準までいけばよいのか?知りたいはずです。
今回は「リスケの卒業とは、リスケの出口戦略」についてお話をします。
「リスケの卒業」とは何か?とは諸説ありますが、私は「新たに借り入れができる状態になること」を「リスケの卒業」・「リスケの出口」と呼んでおります。
では、「新たに借り入れが出来る状態」とはどういった状態か
ずばり、債務者の信用格付けが「正常先」になること!これに尽きると思います。
(資本性ローンや、コロナ特別融資など特殊ケースは除きます)
「正常先」になるためには、3つほどの数値要件がありますが、ここではひとつだけ簡略的に指標をお話しします。
「実質長期負債返済年数」が「10年以内」になること!これが一番の指標です。
「実質長期負債返済年数」=(「総借入額」-「運転資金借入額※1」)÷「実質CF※2」
※1「運転資金借入額」=「売掛金・受取手形」+「在庫」ー「買掛金・支払手形」
※2「実質CF」=「経常利益×70%」+「減価償却費」
数式が難しく感じる方も多いと思いますが、この数式の意味は
利益で返済すべき借り入れに対して、年間のキャッシュフローで返済すると何年で返済できるか?を表しています。
運転資金の借入はキャッシュフローで返済はしないのが銀行融資の基本ですので、全ての借入額から運転資金相当分は差し引きます。
残った借入額に対して、CFの力で「10年以内」に返済が可能な水準になっていれば、「正常先」の要件を満たせます。(この数値だけで絶対とは言えませんが、有力な指標にはなります)
残った借り入れの中身は過去に設備投資で借りた借入や赤字を埋めるために借り入れた赤字補填資金がほとんどだと思います。
残りを何年で利益償還できるか?が正常先と要注意先の分岐点になるので、ひとつの基準として参考にしてください。