資金繰りが切迫して、借入金の返済する余力がなくなった場合、リスケジュール(以下リスケ)の手段を選ぶことも資金繰り再構築のための有効な手段のひとつです。
しかし、なかなか経営者はリスケジュールの選択をしません。それは何故なのか?そしてリスケを決断するための要素は何があるのかについてお話しします。
リスケをためらう最大の理由は「今後、新たな借入ができなくなる不安」が一番の理由なはずです。
「どんなに赤字が続いても、既存の借入を返済していれば借り入れができる!」
このように考えている経営者が多いのが現実です。では、新たな借入ができない理由は「リスケ」をしたからだけでしょうか?
多くのリスケを経由して再生支援を手掛けた経験から、私が考えるリスケを決断する3要素は以下のとおりです。
営業利益の赤字が何年も続き、実質債務超過(帳簿が債務超過だけではなく、実態の純資産が債務超過であることも含みます)の状態で、金融機関から融資の断りを受けた場合です。
要するに、金融機関からの新たな借入のチャンスが当面はないことから、既存の借入返済のための資金繰りのストレスを無くして、経営改善に集中することが望ましいと言えます。
金融機関から借り入れができず、それでも既存の借入金の返済を継続したい一心で、親族からお金を借りたり、ノンバンク、取引先等からお金を工面することは避けるべきです。
大事な親族とお金のトラブルの種を作ったり、高利なノンバンクから調達しても、資金繰り切迫の根本的な原因解決には至りません。いたずらに借入金を増やさずに事業を立て直す手段こそがリスケジュールになります。
私はリスケ推奨論者でもなく、リスケが全てを解決する手段も思いません。リスケは「目的」ではなく、あくまで事業を立て直すための時間を金融機関からもらう「手段」に過ぎません。
最も大切な要素とは「経営者の事業継続に対する気持ちが切れていないこと」です!
リスケはあくまで金融テクニックのひとつであり、リスケを行っても「リスケ慣れ」している経営者が多いのも現実です。自身が先頭に立って会社を立て直す必死な気持ちがないと、リスケの意味が全くないのです。
(私はご相談の経営者と面談する際に、この点を一番重視してます)
どんなに債務超過であろうと資金繰りがきちんと回れば、企業は倒産しません!
いたずらに借金を増やすことなく、既存の借入金の返し方を改め、確固たる意志のもとで会社を立て直す方のためにリスケの手段があるのです。