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【事業再生ブログNO.64】資金繰り困窮時の支払優先順位を間違えてはいけない

2020/07/15

資金繰りが厳しくなってくると、限られたお金のなかで何を支払っていけばよいのか、訳が分からなくなってしまいます。しかし、判断を間違えてしまうと、一番守るべきものを守れなくなり、最後は破産の道を辿ります。

どこの銀行に融資をお願いしても断られてしまった場合に、経営者がすべき次の手段は何のなのか?についてお話しします。

経営者は「銀行の返済」を死守したいと思っている・・これは大きな間違い!

多くの経営者は「毎月の銀行返済」は守ろうとします。

それは何故でしょうか?そうです「いつか銀行がまた貸してくれるはず!」と思い込んでいるからです。(またはそう信じようとしているからです)

しかし、財務内容や損益の状況を見てみると、これはどうやっても新規融資は出ない・・ような状況をいかに理解するか、または顧問の会計事務所の皆さんが経営者にいかに諭すかが大きなポイントになります。

「新しい融資が出ない」なら既存の借入返済の方法を変える」

これがまずは事業再生の一歩目です。

経営者は銀行との取引をどうしても守ろうとし、ここで躊躇してしまう方が非常に多いのです。(しかしこれは倫理観としては間違っていないと思いますので全否定はしません)

しかし、銀行の返済を仮に全て止めたとしても事業活動が止まることは決してありません。(ただしきちんと銀行とリスケの契約が成立することが前提です)

事業を継続するには何が必要かを考えて順位をつける

企業が支払う項目として大きく分けると5つあります。そして支払の優先順位は➀→⑤の順番で行います。

  1. 人件費
  2. 仕入代金
  3. 家賃などの固定費
  4. 租税・社保他
  5. 銀行返済

この5つの項目を資金繰りが限られている中でどれを優先して、どれを劣後させていくかが大切になります。

  1. 人件費
    これは最優先項目です。社員は「話せば遅延しても理解してくれる」と思う経営者も多いですが、それは大きな間違いです。遅延が許されるのは経営者自身の役員報酬のみです。
  2. 仕入代金
    売る商品、作るための材料、これがなければ売上は作れません。従業員の次に大事なのは取引業者です。
  3. 家賃などの固定費
    家賃は負担が大きなものであります。貸主等に一時的な家賃の減額・一時支払猶予等の交渉はできないことはありません。リース等についてもリース業者との交渉で一時的な猶予をもらうことも可能だと思います。
  4. 租税・社会保険
    今はコロナショック特例で「納税猶予」「社保納付猶予」の制度があります。平時においてもきちんと税務署や年金事務所の担当者と支払い計画をもとに交渉すれば分割納付は可能です。
  5. 銀行返済
    さきほどお話しした通り、「リスケ」という合法的な手段があります。しかしリスケ申し出の前に「経営改善計画書」をきちんと作成し、リスケ後の姿を提示する必要はあります。(とはいえ、資料は後追いでも今は許容してくれる銀行もあります)

このように支払い順序をきちんと整理して、資金繰りをどのように回していくのかが企業存続の大きな分岐点になりますのでご参考にしてください。

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