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【事業再生ブログNO.59】リスケ契約後に追加担保を入れてしまったらどうしたらよいか?(その2)

2019/08/15

前回からの続きになります。
リスケ契約後に追加担保設定をしてしまい、銀行団の「プロラタの原則」を破るとどうなるかのか?については前回お話をさせて頂きました。
今回は「プロラタの原則」が破れた場合の解決策についてお話をします。

「ダンパ返済」を是正するやり方はふたつある

「プロラタ=全行平等」が破れた状態を「ダンパ」状態にあると言います。
ダンパとはダンパリングの略語ですが、よくプロ野球選手の入団交渉で不法に事前協議を行う意味で使われます。簡単に言うと「ルール違反」の状態の意味です。

銀行のリスケにおいての「ダンパ返済」とはどういうことを指すのか?

  1. 全行がリスケを始める流れなのに、特定の銀行だけリスケ前の返済額の返済を行っていた。
    (つまり、リスケ開始時期が揃っていない)
  2. リスケ後に不動産や預金などの資産に対して追加担保を設定すること
  3. 特定の銀行だけ返済額がシェア割りになっていない

などなど平等になっていないことを指します。

ダンパ返済の解決はどうしたらよいか

ダンパ返済の解決策にはいろんな方法がありますが、上記の1~3の状態を解決するには

  1. 全行がリスケを始める流れなのに、特定の銀行だけリスケ前の返済額の返済を行っていた。
    (つまり、リスケ開始時期が揃っていない)
    →全ての銀行にリスケ前の返済額を返済すること(ただし資金繰り的に無理だと思いますが)
    →特定の銀行に返済してもらった分を、シェア調整のうえで特定の銀行だけ返済を止める
  2. リスケ後に不動産や預金などの資産に対して追加担保を設定すること
    →追加担保設定を解除してもらう
    →解除できなければ、担保充当額分の金額に満つるまでその銀行の返済は行わない
  3. 特定の銀行だけ返済額がシェア割りになっていない
    →特定の銀行だけの返済余剰分に対して、返済を止める

このように、基本的にはリスケ後の返済額の調整を行いますが、数年単位での調整になりますので管理はかなり大変になります。
この考え方は「上級レベル」だと思いますし、私もなかなかダンパの事例には当たらないので、経験がない方はこの発想すら浮かばないと思います。

肝心なのは「ダンパ状態」を発生させないこと

ダンパ状態を解決する策はあるとは言うものの、全行の同意を得るために割く時間とエネルギーは相当なものです。
本来は本業の立て直しに向けるべきエネルギーを割かれてしまいます。

そのためにも、自ら「ダンパ状態」を発生させないことです。

  1. リスケ後の追加担保は断固拒否
  2. リスケ後の返済額も特定の銀行への「忖度」は決してやってはいけない

この2点をよく覚えておいてください。

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