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【事業再生ブログNO.57】試算表や決算書は「税務申告」のための資料ではありません!

2019/06/15

業績不振の企業で散見されるのが、「帳簿=試算表や決算書」の数字の立て方が実態に合っていないことです。
実態にあっていないとは「経営管理」をするための数字になっていないことです。
まだ言い方が抽象的でピンとこない方も多いと思いますが、今回は「税理士の言いなりのまま」の数字の立て方をし、きちんと自社の経営管理ができていない会社の実例をお話しします。

会社の実態に合わせる最初のステップは「変動費」と「固定費」の区別から

会社のお金の「支出」するものには大きく分けてふたつの種類があります。

  • 「変動費」
    売上の上下に連動するもので、例えば「仕入原価」「荷造運賃」や売上に連動する「広告宣伝費」や「営業手数料などです。
  • 「固定費」
    売上が「0」であったとしてもかかかるもので、「人件費」「家賃」「顧問料」などです。

お金の出入りだけで考えれば、「変動費」「固定費」を混同してもいいのですが、この区分をしっかりしておかないと正確な「粗利益」がわからなくなります。

こういったケースがありました。

ネット販売をしている会社があって、商品の「仕入れ原価」は「変動費」に入れていました。これは当然です。

しかし、サイトを運営するにあたって運営業者に「売上の〇%が成果報酬」の広告費を払っていました。
また商品の発送に関わる運賃を「固定費」に入れていました。

商品売り上げが「0」であれば、「広告宣伝費」も「運賃」もかかりませんので、「広告費=変動費」の処理が経営管理上は正解です。

正しい処理ができていないのは「経営者」「会計事務所」の間に「溝」があるため

なぜ、このような実態に合っていない処理が発生するのでしょうか?

私の経営上で考えられる理由は以下の3点です。

  1. 税務上は「固定費」「変動費」の区分は関係ない
  2. 会計事務所の担当者(所長も)が企業の商売の実態を理解していない
  3. 経営者が自社の帳簿に関心をもっていない

1.は、「お金の出入り」がきちんと計算できていれば、税金の計算は出来ます。
2.は、残念ながら非常に多いのが事実です。
「税務」の仕事しかしないと割り切っているのか、経営者と話が出来ないのか、顧問料が低すぎるのか、色々理由がありますが、お客さんの商売に関心がないと言っても過言ではないでしょう。
3.は、経営者自身の問題です。会計事務所に対して「受け身」になり、出された数字しか受け入れず、自社の状態を積極的に発信していないことが要因です。

いずれにしても、経営者及び会計事務所「双方」の問題と言えます。

「変動費」「固定費」の区分はモノ・サービスの値段を決めるための一番大切な「指標」になりますので、ここはこだわりをもつようにしてください。

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