銀行から、リスケジュール(以下リスケ)を実施している企業に対して、損益改善のために「役員報酬を下げろ」と言われた経験のある経営者も多いと思います。
リスケという非常事態ではあるものの「給料を下げろ」と言われていい気分な人はいません。
今回は、銀行の決まり文句である「人件費をさげろ」のフレーズに対して、どのように考えたらよいのかについてお話しします。
役員である以上、企業の経営に責任があるのは言うまでもありません。またリスケをお願いせざるを得ない状況にした責任も経営者にあるのも事実です。
しかし、私の考えとしては、役員報酬をはじめ、社員の人件費にメスを入れるのは「最後の砦」と考えています。経営者にも生活がありますし、何より下げることでモチベーションが下がるのは間違いありません。
「役員報酬が高い」といっても、年間20,000千円ももらっていれば、感覚的には「高い」という印象になります。あくまで「高いか低いか」は「感覚的」な話なのです。
ではどのように考えたらよいのか?
営業利益が▲10,000千円の状況で(あくまで役員は社長1人と仮定します)
このようにあくまで「感覚的」な話になってしまうのはしょうがないのです。
役員報酬の金額が高いとは言っても、会社の資金繰りを工面するために社長個人が借り入れをし、会社に資金を投下し、給与で返済しているケースも多々あります。
一見、役員報酬が高くても、そのお財布の中身は、借金の返済に充てていることもあるのです。
また、お子さんの学費や住宅ローンの返済など社長個人のお財布事情もきちんと銀行に伝えれば、むやみに下げないで済むケースもあります。
要するに、役員報酬がなぜその金額が必要なのかを説明できれば、銀行の言いなりになる必要はありません。
もちろん、企業経営として利益を黒字にする努力はフルパワーでやるべきです。しかし、あくまで企業を支えているのは経営者や社員をはじめとした「ヒト」であります。
華美な生活をしてないと自信があるのであれば、銀行の言いなりになる必要は全くありません。