先日、リスケジュール(以下リスケ)中のクライアントに対し取引銀行の「某地銀」が融資取引を正常化させ、全ての借入金を肩代わりしたいとのオファーがありました。
リスケ中の企業にとってみれば、非常に有難い話ではあります。
しかし、気を付けるべきポイントがいくつかあり、きちんと冷静な自己分析ができていないと、後で後悔することにもなりかねません。
今回は、リスケを卒業するために考えるべきポイントについてお話をさせて頂きます。
このクライアントは、3年連続の営業利益が赤字の会社ではありましたが、ようやく企業努力が実を結び、今期はいよいよ黒字化の目途が見えてきました。そういう状況下での正常化かつ全額肩代わりのお話だったのです。
「リスケを卒業する」とは色んな定義があるとは思いますが、私としては「新たなに借入が出来るようになり、今後も円滑な銀行取引ができるようになること」です。
そのためには、リスケの対象となっている借入金をたとえば10年(10年でないといけないわけではありません)で完済できるような返済を行っていくことが条件となってきます。
以前からお話している内容ではありますが、事業を行う上での「正常な運転資金」の部分については、返済をつける必要はありません。(運転資金の算出式は省略します)
たとえば、総借入金が500百万円あり、その中で「正常な運転資金」が100百万円あったとします。
その場合、キャッシュフローで返済すべき借入金は500百万円-100百万円=400百万円になります。
この「正常な運転資金」の考え方は、きちんとこちらから話をすれば、銀行は聞いてくれます。
返済すべき400百万円をたとえば10年で返済する場合、毎年40百万円のキャッシュフローが生み出せるのかどうかがまずは考えるべきポイントになります。
さきほどの例で黒字経営は続けていけても、CFは年間返済額に届かない場合はどうしたらよいでしょうか?
このままだと毎年30百万円の手元預金が減っていくことになります。本来は利益で返済すべきでありますが、この場合は、肩代わりしてもらった銀行に、毎年30百万円で10年返済の融資をお願いすることで返済が継続できることになります。
追加で融資してもらった分で返済額が増えることになりますが、年間CFが黒字化できていれば、理論的には返済が継続できることになります。
つまり、全額返済を正常化させる場合には、今後のCFはどうなるかの予測のもと、「追加融資」の話を正常化させる前に、銀行ときちんと話をしておく必要があります。
今回は簡単な説明になってしまいましたが、「リスケの卒業」については、いろんな銀行融資の知識をフル回転させなければならないので、きちんと専門家の意見を聞いた上で、ご判断してもらえればと思います。