新規のクライアントから、リスケジュール(以下リスケ)を申し出したら、メインバンクから「社長の自宅を担保に入れてください」と言われてどうしたら良いか?との相談がありました。
今回は、リスケをすると持ち家は担保に差し出さないといけないのかどうか、そしてその際にはどうように銀行に対応したらよいのかについてお話させて頂きます。
リスケを申し出すると、企業の信用格付けは見直しとなり、基本的には「要注意先」にランクダウンすることになります。(リスケ申し出前が正常先であると仮定すると)
正常先→要注意先にランクダウンすると、
銀行では貸倒引当金を積み増すことになるので、銀行にとってみれば、コストアップになります。それを防ぐためにも「無担保部分」の融資残高を減らすためにも「追加担保」をお願いする流れは、銀行から見れば自然とも言えます。
今回のクライアントの場合は、複数の銀行との取引があります。メインバンクの「自宅を担保に」の要求を仮に受け入れてしまったら、他の銀行はどう反応するでしょうか?
「なぜメインだけに担保を入れるのですか?」
「メインと同様にうちの銀行にも担保をお願いします」
「メインだけを優遇するのであれば、リスケには応じられません」
このような反応がでてくるはずです。
リスケジュールには「全行平等の原則」があります。
リスケ申し出以降、特定の銀行だけに条件を優遇してしまうことは、他行の足並みを乱すことに繋がります。
たとえば追加担保以外にでも
などの条件面での個別優遇はリスケでは決してやってはいけないことなのです。
では、自宅を特定の銀行だけに担保をいれないための回答は
「自宅を全ての銀行に対して平等に担保権をいれるわけにはいかないのでお断りします」
と対応してください。
つまり、さきほどお話した「全行平等の原則」を貫くことです。仮に担保を差し出すのであれば、根抵当権(抵当権のケースもある)を全ての銀行の残高に応じた按分にて同順位でつけなければなりません。
リスケを申し出ると、個別の銀行ごとにそれぞれ要求してくる条件が多岐にわたることもありますが、「平等の原則」というひとつのルールを守ることが、企業経営を守ることにも繋がることをよく念頭においてください。