3月決算の企業はようやく決算数値が固まり申告の時期になります。企業努力の甲斐もあって晴れて「黒字」決算が組むことができた企業も多くあると思います。
今回は、リスケ実施後の初決算で「黒字」にようやく回復した企業に対しての注意点をお話させて頂きます。
ようやく黒字が出た!
となると、銀行もこれまで厳しい対応をしてきたところも、顔色を変えて返済額の改善交渉に前のめりになってきます。当然ながら、銀行の立場からすれば前年の返済額よりも1円でも多く、毎月の返済額を確保しておきたいところです。
しかも、黒字で生んだキャッシュフローの全額を返済に回すように交渉をしてくる銀行もよく見かけます。
リスケを実施している企業側からすれば、リスケに対して「後ろめたい」気持ちがあることから、銀行の言いなりの返済額で応諾しているケースもよく見かけます。
しかし、大事なのは、リスケ=「原則として追加借り入れができない」事実をきちんと受け止められるかどうかです。さらに、前期は「黒字」だったとしても今期も同様に「黒字」になる保証はないということです。
では、返済額の増額を求めてくる銀行に対して、どのような交渉を行っていけばよいのでしょうか?
それは、自分自身で返済額を決めるルールを作ることです。
どのようなルールを作ったら良いのか?ですが、これは「教科書的な決まり」はどこにもありません。
ただ、私がクライアントにお話しているルールは
リスケジュールをしている以上、原則として新たな借入は難しいことから、自己資金にて経営を行っていかなければなりません。また、前述のとおり、前期が黒字だったとしても、今期も同じように黒字になる保証はなく、無理をした返済を行ってしまえば、自身の資金繰りを傷めることになります。
リスケ実施中に一番重視すべきことは、「自力資金繰りにて事業を継続させる」ことです。
返済のスピードをあげることは当然ながら大事なことですが、それ以上に大事なことは「持続的かつ安定的な返済」を行うことです。
今期は毎月1,000千円返済できましたが、来年は500千円しか返済できませんとなると、返済額が不安定になり、銀行からの心象も悪くなってしまいます。
仮に、赤字になったとしても、資金繰り上で問題のない返済額にすることが理想ですが、何か返済額の拠り所を決めるとすると、「キャッシュフローの半分」にいきつくのです。
残りの半分のキャッシュフローは手元資金として貯めておくのです。
この点を銀行に指摘されたとしても、「継続的な返済」のために、半分までとしたいと説明をすれば、納得してもらえるはずです。
当面は月商の1か月分の手元預金の貯金を目指し、慌てず急がずの返済を行っていくことが、リスケの出口への近道となるのです。