最近、鉄鋼、紙、電気・ガス等の値上げが本格化するニュースをよく見かけます。原油等の値上がりに続き在庫調整が進んできたこともありますが、昨年に続き、本年も値上がりの年になりそうです。
中小企業経営にとって、材料費や光熱費の上昇にいかに対応するかは大企業以上に、難しいテーマになると思いますが、今回はいかにして値上がりに対応していくのかについてお話をさせて頂きます。
みなさんの会社は、「製造業」、「卸売業」、「小売業」なのかによって、材料費や仕入費のコストの考え方や対応は異なってくると思います。
しかし、どの業種にも共通する考え方は「どの付加価値で稼いでいるのか」になります。
製造業であれば「工賃」であり「設備使用料」
卸売業であれば「仕入目利き」「仕入口座の保有」
小売業であれば「商品価格」「商品品質」「独自性」
などが上げられます。「うちは小さな会社だから受注先に転嫁なんかできない、うちが我慢するしかない」と言いたくなってしまうでしょう。しかし、その製品や商品の値段が適正なのかを決めるのは、自社であると同時に消費者であり受注先であります。
そこで、自社の「付加価値」はどこにあるのかを冷静に捉えることで、その「付加価値」をいかに値段に反映させるかが大きなポイントになるのです。
つまり、製造業であれば、他にいない「職人の技術料」や他にない「設備使用料」などの目に見えない価値を「値段」に反映させるのです。職人賃金が上昇しているのであれば、技術料上昇分も製品価格に転嫁すべきです。
世の中が「値上げ」の流れの時に、単価値上げのお願いをしなければ、値上げの好機は、なかなか訪れないとも言えます。全ての企業に対して「値上げ」をしなさいと言っているのではありませんが、この時期だからこそ、会社の原点に立ち返ってみなさんの会社の「価値」を改めて見直して欲しいのです。
今、金融業界では、決算書などの「定量評価」以上に、企業の事業の力を評価する「定性評価」に力点をおいております。皆さん、「事業性評価制度」の言葉を聞いたことがありますか?
数字には見えない「会社の価値」をできるだけ具現化させることが狙いにあります。たとえば
このように「目に見えない」知的資産を表していくものです。さきほどお話した「会社の付加価値」の話に通じるものがあります。
銀行のために、この作業をするのではなく、皆さんの事業の原点を見つめなおす意味でも、事業の価値を改めて社内で検証することが、結果として金融機関との相互理解に繋がるものと思いますので、是非、社内で「企業価値」検討作業をやってみてください!
なお、「事業性評価制度」については、私にとっても今年の大きなテーマとしておりますので、今後も情報提供を行っていきます。