前回からのお話の続きになります。リスケ状態を正常化させる際に気を付けておくべきポイントについてお話させて頂きます。
リスケを実施したからには、「返済額を極力抑え、手元資金の向上を図る!」これが私のリスケにおいて重要視しているポイントです。
それはなぜか?「新たな借入が原則できない」からです。
(原則と書いておりますのは、今は「経営サポート保証」のようにリスケ中でも借り入れができる可能性も出ておりますので)
手元資金は大いに越したことがありませんが、私の考え方は
を目安にしております。前回もお話しましたが、ここまで慎重になっている最大の理由は新たな借入ができるまでに1年はかかること、そして今後の経営環境の悪化リスクに備えておかなければならないことです。
手元資金の確保以外に、正常化させるために必要な要件はなにがあるのか
債務超過の解消は新たな借入ができるためには当然のことです。ただし、決算書等での帳簿上の債務超過ではなく、不良資産等も考慮した実質の債務超過解消が条件になりますのでご注意ください。
次に、新たな借入でできるためには1年間は待たないといけないとお話しましたが、これもあくまで事業が黒字化を維持できているのが条件になるでしょう。
つまり2年目に赤字になるリスクも考え置かなければならないので、念のために2年間の資金繰りを見ておいたほうがより安全です。
最後に、仮に再び赤字基調になってしまったとしても、原価低減や役員報酬の削減など黒字化に向けてすぐに経営判断を実行に移せる社内体制を作っておくことが必要です。
このようにリスケを正常化させるには、それなりの準備が必要なことが分かって頂けたと思います。それでは、銀行が「正常化」を安易に提案してくる理由はどこにあるのでしょうか?
もちろん、顧客が再び借入ができる状態に早くなってほしいこともあると思いますが、私が現場で感じるのは、「リスケ」を脱して「楽な顧客」にさせたい意識を感じるのです。
リスケを経験した経営者は、借入が出来ないトラウマがなかなか離れないものです。リスケをお願いした際に、色々と銀行から問い詰められた記憶もなかなか消えていないのです。
もう二度とそのような思いをしたくない経営者の気持ちをいかに銀行に汲んでもらえるのか、それは「リスケの出口」の基準を経営者自らがもっておき、銀行に伝えることが一番大切なことなのです。