リスケジュール(以下リスケ)を実施すると、返済条件の見直しのために、一般的にはまずは3ヶ月や6か月の期間を定めます。
しかし、一定の状況になってくると「見直し期間を1年にしましょう」と提案をしてくるようになります。今回は「見直し期間1年」が意味することは何か?についてお話をさせて頂きます。
リスケを実施するというのは、業績が低迷し、資金繰りが悪化したのが大きな理由だと思いますので、リスケ見直し期間の設定はまずは短期で3ヶ月や6ヶ月にするのは当然でしょう。
売上の低迷に歯止めがかけられてきたのか? 営業利益の黒字回復にメドが立ちそうなのか?など見るべきポイントは多くあります。
経営努力が見えてきて、リスケ見直し期間を伸ばすことを許容する企業の共通点はどこにあるのかを挙げてみます。
私のクライアントでの共通点は上記の3つが挙げられます。
特に2.については、現在の経営改善の過程を説明するに当たって、大事なポイントになります。要するに「内部管理体制」が整備されてきたことが信頼に繋がってきているのです。つまり、このまま社長に任せていても大丈夫だということです。
保証協会の借入については、見直し期間を1年にすることは珍しいことではないですが、「プロパー」借り入れについて、リスケ見直し期間を「1年」で許容することの意味は大きく、銀行からの信頼の証と言っていいでしょう。
見直し期間が1年になったことで、「これまで毎月銀行に説明していた手間が省ける」と考えてはいけません。1年の期間を許容されたとしても、これまで通り、銀行とのコミュニケーションは密にやっていくことをお勧めします。
リスケとはあくまで「一時的なかつ緊急の避難対応」であり、決して「リスケ慣れ」はしてはいけません。
1年の期間を許容され、黒字体質の会社に切り替わった場合、次に考えなければならないのが「リスケの出口戦略」です。
リスケの出口の定義について、多くの見解がありますが、私の考えは「リスケの出口=新たな借入ができる」状態になることです。つまり、銀行取引が正常に戻ることを指しております。
今では「経営サポート保証」や「資本性ローン」などの事業再生企業への融資の商品があり、これらの融資を契機に、銀行取引を正常化させることができます。
リスケ見直し期間が1年になることの意味は、経営にとって色んな意味で「前を向いて再生途上から再生卒業へのステージに行くための準備期間に入りましょう」とのメッセージが込められていることを、是非認識しておいてください。