前回からお話をしております、「リスケ暫定期間が終わる」のテーマの2回目になります。
前回は「営業利益の黒字化が最大のノルマ」とお話しましたが、今回は対金融機関に対してのアプローチ方法についてお話します。
暫定リスケ期間ではリスケ先の企業の収益力の回復に対して銀行が猶予期間を与えていたのですが、暫定期間が終われば、次に求めるのは「返済」です。リスケ中では、例えば毎月10千円などの少額での返済にも対応していた銀行が、猶予期間終了となると、返済額の上乗せを要求してくる可能性は非常に高いと思われます。
当然ながら借入返済の原資の一番手は「利益」になります。前回、暫定リスケ期間中の最大のノルマは「営業利益の黒字化」とお話をしましたが、暫定リスケ期間終了後のノルマは「税引後利益」の確保になります。つまり、返済の道筋をどう立てるのかが、大きなポイントになります。
とはいえ、リスケを実施すると新たな借入が難しい(決して不可能ではないですが)状況下で利益のみで返済を行っていくことは相当ハードルが高いものです。
「利益を確保」「手元資金をキープ」「返済の道筋を立てる」の3つの項目のバランスを取りながら経営のかじ取りを行っていかなければならないのです。
そのような状況下であって銀行から「返済額を増やしてほしい」と言われたとしても、「当社のキャッシュフローから出せる原資はいくらです」と自分から返済額の交渉をリードしていくようにすることが大切です。
リスケは、やもすると銀行に対して受け身になってしまいがちですが、逆に自らが主体的に動くことが成功の秘訣になります。
リスケを実施している大半の企業は「実質債務超過」状態にあると思われます。ただ、「債務超過」=「経営破たん状態」にあるとは言い切れず、資金繰りが回っていれば、経営は持続可能です。ただし、債務超過であれば、銀行融資のおける信用格付けは良くて「要注意先」悪ければ「破綻懸念先」以下にランクされてしまいます。
しかし、「実現可能な抜本的な改善計画書」があれば、信用格付けを「要注意先」に留めさせることが可能です。ただし、達成率が80%を実現できない数字は「評価されない改善計画書」とされてしまうことに注意してください。
そのためには、数字だけが先行するのではなく、きちんと改善可能な道筋のついた計画書が必要になります。税理士などに作成を丸投げすることなく、数字の作成段階から、経営者自身が積極的にかかわることで、説明する際に説得力を高めることが大事です。