リスケの出口戦略を考えるに当たってのハードルのひとつに「保証協会借入の正常化」があります。
保証協会の借入は中小企業にとって味方になる制度ではありますが、いざリスケを実施して、再び新しい借入をできる状態になるには、超えないといけないポイントが多くあります。
プロパー借入は対銀行だけを考えれば良いのですが、保証協会借入の場合は、銀行と保証協会の両面で考えていかなければならず、利害関係人が1名増えるのです。実はプロパー以上に保証協会の正常化のハードルは意外に高いのです。(借りる入口は易しだが、リスケをすると出口は難しです)
保証協会の借入が正常化するために、一般的に言われているふたつの条件は
「返済条件を元の形に戻したうえで、その返済を1年ほど続けること」
「既存の借入金を10年で返せるキャッシュフローの絵が描けること」
と言われています。
ただし、このやり方にはリスクがあります。
ひとつは
「新たな借入を行わずに、返済を1年間継続していかなければならないこと」
次に、
「1年後に新たな借入ができる保証はない」
ということです。
では、この手段でない形で、保証協会借入を正常化させるための次の方法として
「自社のキャッシュフローに合わせた返済年数にて借り換えを行うこと」
があります。具体的には「特別借り換え」の制度を利用します。ただ、最長でも10年が限度と入れていますので、10年で返済できるだけのキャッシュフローが生み出せるような経営改善が達成できたことが条件になります。(無理な返済額を設定しても、継続できなければ意味がありません)
皆さんもご存じのとおり、保証協会借入は現在では一般的に責任共有制度のもとで協会の80%保証が主流です。(20%は銀行のリスク)
また、特別枠保証の商品として100%保証の制度もあります。保証協会借入の出口戦略を考えるに当たっては、100%保証の借入と80%保証の借入は別々に考えていかなければなりません。それは、協会の制度の事情で100%保証の借入と80%保証の借入を一体化させて借り換えることが不可能だからです。
具体的には
「80%保証の借入」→プロパーで借り換えてもらえるぐらいの財務内容に戻すこと、もしくは手元資金にて80%保証分を完済していくことを考えていく必要があります。
「100%保証の借入」→「特別借換」の制度にて最長10年間で返済可能なキャッシュフローを出せる収益力をつけること。
ただし、正常化できたうえでは、新しい借入が可能になりますので、借りながら返済を行っていく考え方も可能です。
今回は、アウトラインしかお話をしておりませんが、個々の会社の借り方の状況や資金繰りの状況によって出口戦略の取り方は変わってきます。今回のお話はあくまで基準となる考え方ですが、このやり方が全てではないことをご承知おきください。