リスケジュールを脱出する方法には、様々な方法がありますが、借入銀行を変えないでリスケの出口を見つける場合には、借入金の「原使途」との関係が切り離せません。
原使途と返済期間との関係性を考えるにあたって「貸出条件緩和債権」という銀行独特の考え方がリスケの出口の障害になることを念頭においておく必要があります。
『金融機関が債務者の自力の経営再建や支援を図ることを目的として、金利の減免、利息の支払猶予、元本の返済猶予、債権放棄、債務者の有利となるようなその他の取り決めを行う貸出金』と定義されています。
この表現だと抽象的で分かりづらいかもしれませんが、一般的なリスケジュールで金融機関と合意している貸出金は該当しません。では、どのようなケースが「貸条」に該当するのか
このふたつが主に挙げられています。
具体的に言いますと、当初の借入を設備資金として10年で借りていましたが、5年目でリスケジュールを実行したとします。経営基盤が安定してきたので、当初から7年目に10年での分割返済に切り替えたいと申し出します。この結果、当初の貸出金の返済年数は17年に延びてしまうことになります。
これは、「貸条」のなかの「債務者に有利となるような貸出金」とみなされてしまうのです。この状態を脱出するには、上記のふたつの条件(フルカバーか金利充足)のうちひとつを満たす必要があります。
担保については、処分価値でのフルカバーになるので、時価の80%掛け目の価格が借入金と同額になる必要があることから、担保余力がない限りは難しいことになります。
一方金利については、どのような水準を充足していればよいのか?がテーマになります。
「貸条」を卒業するための基準金利とは、債務者の信用区分に応じた金利かつ貸出期間に応じた金利の両方を満たす必要があります。債務者の信用区分に応じるとは、正常先であれば高くはありませんが、要注意先以下に区分されれば、高い金利が必要になります。また貸出期間が長くなれば、当然金利も高くなります。
基準金利は金融機関によって違いますが、おおよその目安として
正常先であれば1.5%~2.5%ほど
要注意先以下であれば 3.0%~が最低でも充足すべき水準になります。
つまり、信用格付けが正常先にランクされる前に、リスケの卒業を慌ててしまうと、高い金利を提示されてしまうことを覚えておいていただけたらと思います。
まずは、自己の財務内容を正常先に改善させることが、何よりも優先事項になります。