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【事業再生ブログNO.10】リスケ期間中では金利は下げられないのか?(その1)

2015/07/29

リスケジュール(以下リスケ)をいざ実施すると、借入金利は上昇してしまうことが一般的です。しかし、銀行との交渉の過程や、会社の財務内容等の好転により、金利を逆に引き下げることが可能です。今回は、金利を引き下げるポイントについて、2回に分けてお話させて頂きます。
1回目の今回は、金利が上昇するロジックと、金利が上がる貸出金、上がらない貸出金についてお話します。

なぜ、リスケをすると金利は上がるのか?

リスケを実施すると、信用格付けは「要注意先以下」にランクダウンされます。信用格付けの更新は通常では、決算を更新する年1回の見直しですが、リスケが実施されると「臨時見直し」を行うことになり、格付けのランクダウンをするのがルールです。

つまり、会社の信用度が下がることになるので、回収リスク(倒産確率)が上がることになり、その上昇分を金利に転嫁せざるを得なくなり、企業に対して金利の引き上げ交渉を行ってくることになるのです。銀行は、貸出先のランクダウンに伴い、貸倒引当金を計上する必要があります。引当金は銀行にとってはコストであり、そのコスト上昇分を貸出先に転嫁することになります。

全ての借入金の金利が引き上がるのか?

答えから言うと、全ての借入金の金利が引き上がることになりません。さきほどお話した通り、金利の上昇は貸出金の回収リスクが上昇したことに起因します。その話を逆手にとれば、回収リスクが変化しない貸出金の金利は上昇しないことになります。(ただし、あくまで市場金利が上昇していないことが前提です)

  1. 金利が上昇しない貸出金とは(保証協会借入分)
    回収リスクが上昇しない貸出金と言えば、「保証協会保証がついている貸出金」及び「担保にて保全されている貸出金」になります。
    保証協会の保証には100%保証分と80%保証分と2種類が混在していると思います。100%保証分については、銀行側からすれば、回収リスクは0%となりますので、借入先の信用度がいかに下がろうとも、金利上昇の理屈は立たないことになります。
    銀行によっては、保証協会保証分の金利も上げる交渉をしてくるところがありますが、これはきちんと交渉をすれば金利の引き上げは防げます。
  2. 金利が上昇しない貸出金とは(プロパー借入分)
    また、プロパーの借入であっても担保で保全されている部分の貸出金の金利も引き上げの理屈は立たないことになります。
    例えば、不動産担保を提供していて、固定資産税評価額を考えても、十分に保全されているのであれば、金利引き上げ交渉に対して、抗弁することが可能です。(ただし、あくまで銀行の評価額によりますので、担保不足があれば、金利引き上げの理屈は成り立ちます)

このように借り入れ全てを一括りで考えないで、中身を確認すれば、銀行との交渉の活路が開けることになります。

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