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【事業再生ブログNO.5】建設・工事業の生命線は「工事台帳」にある(その2)

2014/10/28

建設・工事業の融資は「プロジェクト・紐付き型」が基本

話は銀行融資に変わりますが、私が銀行員の時には「不動産、建設、金融業」は3不況業種と言われ、融資スタンスはかなり厳しいものがありました。それは、今でも変わっていないようにも感じます。

建設業に対して、融資審査の目が厳しい理由のひとつが「採算管理を徹底している中小企業は少ない」と思われているからです。また、工期が長期になればなるほど、当初の見積もよりも採算が悪化してしまうケースも多々見られること、そして、受注金の回収に懸念がある(業界全体の信用が低いという意味で)ことからも、銀行融資が敬遠されている理由に挙げられます。

そこで、建設業や不動産業に対する融資の基本形は「プロジェクト融資」と呼ばれるタイプが多いと言われています。

「プロジェクト融資」とは受注契約に基づいて、外注の支払い、材料の支払いのタイミングに合わせて、その金額を融資し、受注金の回収をもって返済してもらうパターンです。つまり、案件ごとの「紐付き」融資で行っていくことで、返済懸念を少しでもなくそうとする考え方です。

建設業が融資をお願いする際に必要な資料とは

建設業は案件を受注すると、人工代、材料代、外注費等の前払い分が発生してしまうのがほとんどです。一方、売上の回収は今でこそ、工事進捗に合わせてもらえるケースが増えていると思いますが、工期が短いと完成引き渡し時の一括払いという案件もあります。

建設業の資金需要とは、この「先払い分」が資金需要と言えます。別の言い方をすれば、これが建設業の「運転資金」なのです。

そこで、建設業が融資検討を依頼する際には、以下の資料が必要になります。

  1. 工事請負契約書の写し
  2. 工事スケジュール表
  3. 会社全体の資金繰り表

この要件が揃えば「プロジェクト融資」の検討が可能になるはずです。ただ、お金が足りないから融資をお願いしたいとなると、そのお金はこれまでの赤字工事分で資金が回らない「赤字補てん」の借入とみなされてしまいます。「赤字補てん」とみなされれば、「プロパー」での検討は難しく、良くて「保証協会付」でしょう。しかし、今は20%銀行がリスクを負うことになっておりますので、保証協会付ですら難しいケースもあるはずです。

これまで、建設業の経営改善には「現場採算」が不可欠であること、そして融資検討には説明資料が必要であることをお話してきました。

結論としては、「どんぶり経営」の会社は経営も融資も成功はない!

ということです。この点を良く認識して頂いて、日々の経営及び銀行交渉に少しでもお役に立てればと思います。

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