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【事業再生ブログNO.4】建設・工事業の生命線は「工事台帳」にある(その1)

2014/10/07

ここ最近、建設業を取り巻く環境としては、仕事量が増えて活況を呈している状況ではありますが、一方で人件費及び材料費の高騰で、採算がなかなか取れない案件も増えてきていると思います。入札も不調に終わる案件も多発しているのも、コスト増加が背景にあります。
今回は、「建設業・工事業」の業種に絞って、事業改善のポイントと及び銀行が融資審査をする目線について2回に分けてお話をしたいと思います。

「工事台帳」がない会社は成功しない

工事案件の受注を決める際には「見積もり・提案書」が必ずあります。最初に外注費や材料費などのコストを試算して、利益分を加算して請負金額を決めるはずです。
しかし、工事が進捗している途中や完成した後に、その「見積もり」の結果を検証している会社は、どれだけいるでしょうか?

これは私の経験からになりますが、業績の低迷している建設・工事業のほとんどが「中途及び事後検証」を行っておりません。特に工期が長くなればなるほど、当初の見積もりより人工代や材料費が嵩んでしまうことは良くあることです。
予想外の大きなコストがかかれば施主に追加請求をかけなければなりませんが、それにも気づかず終わってみれば「赤字」工事で終わってしまっているケースも多いと思います。

それぞれの会社の工事採算ライン(具体的には粗利率)をどこに設定しているのか分かっていない会社も多いのが実情です。
「工事台帳」を社内会話のツールとすることが、いかに大事かを改めて考える時でしょう。

資金繰りを回すために工事を取りまくる会社も成功しない

資金繰りがきつくなってくると、経営者は目先の資金繰りを回すために、とにかく案件を受注することのみに頭がいってしまいがちです。かつ、入金が早い案件を欲しがることで採算を考えない無理な案件をとって来てしまいます。 そして、仕事量は増えて社内は忙しくなってくると、工事を完成させることばかりに頭がいってしまい、 採算管理に手が回らなくなります。気が付くと工事案件は多いのに資金繰りは以前よりもきつくなってきている事態に後で気が付くのです。

「資金繰りが厳しい」→「工事案件をどんどん取らなくては」→「仕事を裁くので精いっぱい」→「完成させるために外注人工はどんどん使う」→「採算管理の暇なし」→「資金繰りは余計に悪化」

このように負のスパイラルを呼び込んでしまうのです。

そして、自社の能力を超えた現場数を抱えてしまうと、さらに負のスパイラルは加速します。

「現場数が増える」→「社長が現場を回れない」→「現場監督すら外注頼みにしてしまう」→「外注監督に採算の考えはない」→「工事進捗の採算管理ができない」→「終わってみると赤字」

このように、資金繰りを好転させようとして多くの受注をとってしまうことが、結果として自分の首を絞めてしまう事態に気づいていないのです。

現場数を自社の身の丈に合わせる

この負のスパイラルを止めるには「現場数、現場の規模」を自社の身の丈に合わせたものにすることが一番の近道です。経営者にとって、売上高が減るのは一番避けたいことだと思いますが、売上が下がったとしても、粗利益が稼げないと意味がありません。現場数が多く、日々多忙にかられているが、月末になるとお金が足りない。そういったことを是正するのが大切です。

そこで、粗利額を稼ぐことを優先にし、自社で目が届く現場数、現場規模にすることで「採算管理」がきちんと機能するようになるのです。

次回は、建設業に対する銀行融資の目線についてお話をさせて頂きます。

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