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【事業再生ブログNO.3】リスケジュールを実施すると手形割引は出来なくなるのか?

2014/09/26

経営状況や資金繰りが苦しいが、なかなか「リスケジュール(以下リスケ)」に踏み込めない理由のひとつに「手形割引(以下割引)」ができなくなってしまう」ことが挙げられます。
手形の回収が多い企業や、手形は少なくても割引をしないと資金繰りが止まってしまう企業も多いと思います。しかし、「リスケ」=「割引不可」とは限りません。では、どのように銀行と交渉をしていったら良いのでしょうか?

割引が資金繰りの生命線であることを説明するのは「資金繰り表」しかない

割引とは言っても、銀行にとってみれば「割引」=「融資」と考えられています。つまり、リスケ先には、新規の融資を行うことが原則難しくなることから、割引と言えど難しくなるのです。 しかし、企業からしてみれば、「割引」=「融資」の認識はやや乏しく、資金繰りを回すための大きな手段と考えているのが一般的でもあります。そこで、銀行と企業側の認識のズレを修正する必要があります。

まず、日常の資金調達手段である「割引」が止まると、リスケを実施して時間的な猶予をもらっても、資金繰りが回らなくなること、そして「割引」が継続できれば、事業改善に寄与することを説明するべきです。
その手段として、決算書や試算表での資料の説明では不十分です。理由としては、決算書も試算表も「静的状態」を表現した資料に過ぎないからです。

割引が資金繰りに必要であることを説明するには「動的状態」を示した「資金繰り表」が唯一の資料になります。

具体的には、毎月の売上計画を立てて、回収条件をおよそ予想します。
「手形回収先の売上が増加するから、割引の必要性がある」、「売上先の30%は手形回収先が占めている」等の説明を入れていきます。
そうすると、資金繰りに「割引」が必要なことが数字で表現できてきます。それに加えて、赤字の事業をどのように改善していくかについての「改善計画」がセットで提出できれば割引の可能性は高まるはずです。

メガは「リスケ」=「割引不可」の可能性が高い

上記のように、「割引」が資金繰りに不可欠な手段であることを説明したとしても、全ての金融機関が割引に応じるとは限りません。
これまでの私の実例から言えば、ひとつの法則があります。

メインが「信金、信組」の企業で従来から割引をしている企業に対しては、リスケを実施したとしても「割引」を継続してくれる可能性があります。

100%そうだとは言い切れませんが、可能性は高いと思います。信金、信組でメインバンクの地位にあるということは、それなりにメインの責任感があるのかと思われます。
ただし、さきほどお話した「資金繰り表」と「改善計画書」のセットは必要になります。

一方、メガバンクの場合で「割引」が継続されている実例は今のところありません。やはりメガはドライな印象が強いですが、メインがメガバンクだからと諦めないで、交渉をしてみる価値はあると思います。

裏書譲渡の手段も検討する

割引が継続されたとしても、割引額が減額になる、手形の銘柄が制限されてしまう等の条件がつくことも考えられます。その場合は、現金化されない手形が手元に残ってしまうことになります。となると、支払いに使うためには「裏書譲渡」の手段をとるしかありません。あくまで、支払先の相手が応諾するかどうかによりますが、交渉をしてみてください。
「いいとは言わないはず」と思いこまずに、交渉をしてみると「OK」の場合も結構ありますので、話をしてみることも大事です。

リスケをすると資金調達の手段が狭くなってしまうのは事実でありますが、思い込みで「これはできない、ダメだ」と決めつけずに、なぜ必要なのか、今後どうなっていくのかをきちんと説明すれば、道は開けることを頭に置いておいてください。

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