前回は、リスケ先が新規融資を受けるための2つの条件についてお話をさせて頂きました。今回は、2つめの条件の話の続きとして、「運転資金以外の借入とは」について、そして、新規借り入れができ始めている実例についてお話しします。
2)運転資金以外の借入とは
では、運転資金以外の「それ以外の借入」はどのような資金使途が考えられるでしょうか?
主なものとしては、「設備資金」と「赤字補てん資金」が考えられます。
設備資金と赤字資金については、返済を利益と減価償却費、もしくは、資産売却にて返済をしていかないといけないことから、この二つの借入について、前回の「条件その1」で話をした運転資金とは違って本業で利益を上げたうえで、返済を行っていかなければならないものです。
つまり、借入金を全体でくくって考えてしまうと、どのように返済を行っていくべきか、どの段階まで利益を積み増していかなければ、ならないのかの判断が出来ないのです。
お金には「色」があると言いましたが、この色分けこそが、リスケの出口戦略には重要なポイントになります。
まとめてみますと、「正常な運転資金」を算出して、それを借入全体額から差し引くのです。その残った借入を金融機関では「実質長期負債」と呼んでいます。
リスケを実施すると、通常は、プロパー借入及び保証協会保証のついた新規借り入れはできません。
しかし、今、一部の金融機関では、リスケを実施している企業に対しても、企業努力により、利益体質に転換してきたところには、特別に短期プロパーにて融資を実行しているところも見られます。
地方の信組、信金にこの制度が出てきている話を私も聞いておりますし、実際に私のクライアントに対しても実行された例が出てきております。金額は3百万程度ですが、期間6か月、3ヶ月据え置きで4か月目から1百万の分割返済の条件でした。その企業は、まだ大幅な債務超過の状態ではありますが、2年連続で営業利益を黒字化させてきた実績をもっておりました。
その信金では、今回の融資を一度完済してくれれば、次は増額の融資を検討するとの話を聞いております。実績を積み重ねていけば、金額の増額及び期間の長期化も期待できます。
その際には「資金繰り表」での説明が効果的です!短期であっても、返済の絵が描ける資金繰り表を提出することが、借入の道を開くツールになると思います。
2回に分けて、リスケ先でも借入の道は開けることについて概略をお話ししましたが、細かいポイントはまだまだありますし、個別の事案によって考え方も変わってきます。自社はどうかと思われる先がありましたら、何なりとお問い合わせください。