近年、銀行の融資において「コベナンツ(財務制限条項)」が付された契約が増えています。とくにメインバンクとの協調融資や長期借入、プロパー融資ではその傾向が顕著です。そして一部では「コベナンツ手数料」という形で費用が加算されるケースも出てきました。
このコベナンツとは一体何なのか?そして、手数料を払ってまで契約する場合の注意点とは何か?
銀行との交渉・契約に入る前に知っておきたい基本事項を解説します。
コベナンツとは「契約上の約束事」
コベナンツとは、銀行との融資契約における財務的なルールの取り決めを指します。
たとえば、次のような内容が盛り込まれることがあります。
- 経常利益が○○万円を下回らないこと
- 自己資本比率が○%以上を維持すること
- 債務償還年数が10年以内に収まること
- 資産売却や借入金の増加を銀行の承諾なく行わない
これらの条件を一定期間ごとにチェックし、もし基準を下回った場合は、
- 金利の引き上げ
- 無保証人で借りていたが、保証人を求める
- 追加担保を求める
などの制約が発生する可能性があります。
コベナンツ手数料とは?
一部の銀行では、コベナンツ契約に応じることを前提に、金利を下げる代わりに手数料を取るというケースが出ています。
この「コベナンツ手数料」は、例えば年0.1〜0.2%程度の定額で、事務負担やチェック体制のコストとして設定されることがあります。要するに銀行にしてみれば「利益の先食い」というわけです。
表面的には「金利が下がる分お得」と思われがちですが、手数料とあわせた総支払コストで見る必要があります。
経営者が知っておくべき3つの注意点
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毎期の数値管理が求められる
コベナンツには「年次決算ベース」でチェックされる条件が含まれることが多いため、決算時に一気に問題が発覚することもあります。
普段から自社の経常利益や自己資本比率を把握し、予実管理や四半期ベースの試算表作成が欠かせません。
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コベナンツ違反時の対応リスク
万が一、条件を満たせなかった場合、銀行側から再契約やリスケ、金利見直しの提案があるかもしれません。
しかし、“契約違反”という記録が残るため、他行への影響や今後の融資審査にマイナス要素となる可能性があります。
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条件の内容は“交渉可能”
コベナンツは一方的に決まるものではなく、内容は交渉によって緩和・削除が可能です。
たとえば、「経常赤字を出さないこと」という曖昧な条文ではなく、「経常赤字が2期連続の場合」といった猶予期間付きの文言にしてもらうなど、契約前に必ず文言を精査しましょう。
「コベナンツ付き融資」は、金利メリットがある反面、制限や管理責任が重くなる契約です。
特に手数料が加算されるケースでは、「総合的なコスト」や「条件を守れる見込み」があるかを見極めた上で慎重に判断すべきです。
銀行との信頼関係ができている場合は、交渉によって柔軟な条件を引き出せる余地もあります。契約書の条文は専門家にも確認してもらい、経営判断としての“納得感”をもってサインすることが大切です。