2024年以降、長らく続いたゼロ金利政策が転換し、金利がじわじわと上昇し始めています。これにより、銀行の融資スタンスも変わりつつあります。金利が上がる局面で、銀行は経営者の何を見ているのか。元銀行員の目線から、経営者が押さえるべきポイントを整理します。
金利上昇局面では、毎月の返済負担がじわじわと増える可能性があります。銀行がまず注目するのは「資金繰りを日常的に管理しているか」です。
たとえ黒字決算でも、キャッシュの出入りを把握していなければ、将来的に返済遅延リスクがあると見なされることも。
簡易的でもよいので、6か月~1年分の資金繰り表を持ち、銀行との面談で共有できる体制を整えましょう。着目すべきは資金繰り上の「経常収支」になります。
資金繰り上の経常収支=「売上入金」-「仕入・外注費支払」-「固定費支払」-「借入利息支払」
になります。
この資金繰り上の経常収支が「黒字」にならないと借入金の「元金返済」の原資がなくなります。
資金繰り上の「経常収支」をよく見るようにしてください。
銀行は、金利上昇時には企業の「財務構造」にも敏感になります。
・短期借入が多すぎないか→正常な運転資金を大きく超える借入を短期で行っているか?
・変動金利に偏っていないか→「固定」「変動」金利で分散借入を行うのが理想です。
・借入の返済期限が集中していないか
こうした構成が健全かどうか、融資審査で細かくチェックされます。経営者としては、長期・固定・分散の3点を意識しながら、資金調達のバランスを見直すことが求められます。
金利上昇下では、融資審査がより「将来計画重視」になります。
「この借入は何に使うのか」「どれだけの効果が見込まれるのか」といった説明が不十分だと、審査は通りづらくなります。逆に、数字とロジックに基づいた計画を持っている経営者は、銀行側も安心して支援できます。
面談時に「何を、どこまで、どう伝えるか」はますます重要になります。
金利が上がるほど、遊休資金や低稼働の設備資金といった「実質的に活用されていない借入」が財務を圧迫します。銀行側も「資金使途の明確性」や「資金の回転率」に注目するようになります。
必要性の薄れた借入や、金利が高いローンは繰上返済や借換えを検討するなど、借入全体のスリム化が評価につながります。
金利上昇局面では、「返済能力」だけでなく、「財務管理能力」や「説明力」まで、経営者の総合力が問われます。銀行員の視点から見ても、「日常的に数字を見ている社長」「早めに備えている社長」ほど安心感があります。
金利上昇は逆風ではなく、「経営体質を見直すチャンス」と捉えて、前向きに備えていきましょう。