借入金の種別は「短期借入金」「長期借入金」と大きく分けるとふたつに分かれます。一般的には「1年以内の返済期限」と「1年以上の返済期限」に分かれますが、その金額の増減で銀行がその会社をどう見ているのかが分かってきます。
今回は「短期借入金(1年以内の長期借入返済は別とします)」に焦点を当てて、その金額の増減が意味するところのお話をさせて頂きます。
短期借入金が増加することに対してのポジティブな見方としては
〇返済不要な期限一括型の借入が増えている
〇「正常な運転資金」が増えていることで売り上げが増加している
〇銀行からの評価が高くなっている
が挙げられます。
まず「短期借入金」が正常に増えていることとしては「運転資金」(売掛金+在庫-買掛金)の金額が売上増加とともに増えることで「返済不要で短期ベタ借り」の「短期借入金」が増加しており、銀行の評価も高くなってきていることから金利も短期プライムレート水準からそれ以下の金利になります。
この見方での増加は理想的な短期借入金の変化です。
一方、ネガティブな見方になると
〇プロパー長期での貸し出しができないことからやむを得ず「短期で返済付の借入」
〇長期の年間返済額がCFで回らず、保証協会の枠もいっぱい
〇既に不動産等の担保はフルで登記設定されており、信用では融資できない
が挙げられます。
さきほどのポジティブな見方とは真逆になり、長期貸し出しができない(財務内容の悪化、保証協会枠がない、担保余力がない)などから最終手段として「返済付きの短期借入」が増えていく構図です。
このような状況になると、メイン行が短期貸し出しをストップした時点で資金繰りはショートすることになり、銀行取引は「末期」にあると言えます。
短期とはいえ、金利水準も高くなり短期プライム+αの金利を求められます。
このように「短期借入金」の金額の増減には銀行の見方が全く正反対の解釈ができることが分かったと思います。
長期借入の残高の増減では「保証協会」借入だけが増えている可能性もあることから、銀行の評価は分かりづらいのですが、短期借入金は銀行の評価ははっきりと分かります。
もしネガティブな短期借入が増加している局面の場合は、速やかに「リスケ」の選択をされることをお勧めします。
短期借入の融資を受けている以上は、長期借入の返済も継続する必要があります。短期借入がストップする前に長期借入も含めた「リスケ」で資金繰りを立て直すことが大切です。