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【銀行融資ブログNO.172】借入している銀行から法人預金を求められたら?

2025/10/15

短期プライムレートが徐々に引き上げられる時代になり、銀行のスタンスも大きく変化してきております。
一番大きくスタンスが変わったのは「預金」を集めることに力を入れていることです。銀行にとって「貸出」をするための最大の原資は「預金」になります。預金が集められなければ融資を伸ばすことができません。
「預金」のメインは「個人」預金になりますが、最近では「法人」にも預金シフトの依頼が増えてきております。
今回は融資取引のある銀行から「法人預金」を求められた場合の対処法についてお話しさせて頂きます。

預金取引を求めるのには根拠がある

融資取引のある法人に対して「預金」を求めるのは、単に「預金集め」が理由ではなく、融資審査の観点から正当な理由があります。

法人に対して「運転資金」として融資をしている場合、「運転資金=売掛金+在庫―買掛金」の算出式で求められた額を融資しております。
そこで銀行としては「売掛金」「在庫」「買掛金」のカネの動きを融資した銀行の口座で行うべきと考えているのです。

具体的には
〇売上回収の口座に指定してもらう
〇給与の支払い口座の元受に指定してもらう
〇仕入れや外注費等の支払をしてもらう
などがあります。

皆さんも融資を受けている銀行の担当者から上記のような依頼を受けたことがある方も多いと思いますが、これは融資審査においては「基本」になり、おかしいお願いではないのです。

預金には「流動性」と「固定性」のふたつがある

しかし、実務を行っている現場からすると

〇売上回収の口座が複数になってしまい管理が大変
〇給与支払いの元受口座を分散すると社員を分けて支払することになり面倒
〇買掛金の支払も支払先ごとに分けるとミスが出そう

など、経理スタッフからはかなり手間がかかることになり、現実的ではありません。
そこで、銀行からは「預金」を置いてくれないか?と提案されることがよくあります。

預金には「流動性」と「固定性」のふたつがあります。

〇「流動性」とはいつでも引き出し可能な預金で「当座預金」「普通預金」を指します
〇「固定性」とは一定期間解約できない「定期預金」を指します(期限前解約も可能です)

銀行の求めに応じる場合にどちらを選択したらよいか?ですが、答えは「流動性」になります。

理由としては

〇「流動性」であれば必要な時に使うことが可能
〇「固定性」は期限前解約の場合は解約の理由を説明する必要があり利便性に欠ける

ことがあります。とはいっても「流動性預金」を置く目安が必要になりますが、目安としては月平残(毎月の平均残高)を〇円にするとしたほうがいいでしょう。
「平均」がポイントで月の中で残高が減ったり増えたりするのは当然で、仮に〇円以上は必ず残高をおくとすると、その預金は実質固定化して使えなくなってしまうからです。

このように預金取引の重要性は金利がある時代になり、より増していますが、もし預金取引の依頼を受けた場合にはその理由は背景も理解したうえで、自身の会社にとって何が利便性高いのかまで考えおくことをお勧めします。

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