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【銀行融資ブログNO.166】「運転資金」の本当の意味を理解していますか?

2025/07/15

借入をする際に「借入申込書」に資金使途を記入する欄があります。資金使途には「運転資金」か「設備資金」「その他」の大きく分けて3つの使途を選ぶことになりますが、この意味をご存知でしょうか?
今回は、銀行融資の資金使途で多く使われる「運転資金」の言葉の意味についてお話させて頂きます。

「運転資金」の本当の意味が分かりますか?

結論から言いますと、皆さんが一般的に使っている「運転資金」と銀行融資の「運転資金」とは違いがあります。

銀行融資の「運転資金」とは「売掛金+在庫-買掛金」で算出される金額の範囲内で貸し出しを行うものです。
(事業を継続するに最低限必要なお金の意味になります)

皆さんが一般的に使われている「運転資金」とよく混同して利用しているのが以下の3つのパターンです。

➀赤字が続き、資金繰りが苦しいので追加で借入をしたい

➁設備資金の返済負担が重くて資金繰りが厳しくなった

➂賞与や納税資金でお金を借りたい

➀は「コロナ融資」のように売上の低迷や、赤字が続いている場合に、資金繰りを補填する意味です。銀行融資で考える「運転資金」ではなく「赤字補填資金」と言います。

➁は当初の設備投資計画どおりの売上や利益が出ずに、設備資金の返済が苦しくなった場合に、設備資金返済の補填を行う借入で「設備返済見合いの赤字補填資金」と言います。

➂は業績が特に変化なくても従業員への「賞与」や法人税などの「納税」のための借入になります。銀行融資では「賞与資金」「納税資金」として資金使途を限定した融資があります。

このように、皆さんが使っている「運転資金」の意味は銀行が考える「運転資金」よりも範囲が「広く」曖昧な定義になっていることが分かると思います。つまり、上記➀~➂は銀行では「運転資金」とは見ていないのです。

「赤字補填資金」は「保証協会」しか対応しない

上記の➀、➁については資金繰り上や損益上での「赤字」を埋めるお金に該当することになり、いざ融資をしようと思っても、リスクが高い融資になります。(返済原資はあくまでCFになるが、CF確保の見通しが難しいため)

リスクが高いとなると「プロパー」で融資ができずに、仮に融資するにしても「保証協会保証」がある融資に限定されてしまいます。(ただし責任共有制度での20%リスクを銀行が嫌う可能性もあります)
(ただし、➂については期間が「6か月」で限定されることから「プロパー」での可能性は十分あります)

さらに「コロナ融資」を使って保証協会借入の金額がさらに増加した企業は、追加の借入も難しく交渉は難航することが予想されます。

このように「運転資金」の言葉は使い勝手のいい言葉に聞こえますが、融資審査では「都合のいい運転資金」としては受け止めていません。

皆さんの借入金の資金使途は実際にどうなっているのか?是非、顧問の税理士や資金繰りコンサルタントに分析をしてもらってください。

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