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【銀行融資ブログNO.165】「在庫」の増加は危険なシグナルです!

2025/07/01

帳簿上の利益は出ているのに、資金繰りが厳しくなっているとのご相談を受けることがあります。
帳簿上の利益とキャッシュの動きが合っていない場合には、様々な原因が考えられますが、その中でのひとつの要因としては「在庫が増加している」ことが挙げられます。
今回は「在庫の増加」が財務的にどんな影響を与えていくか?についてお話しします。

「在庫」は増加しても帳簿上の利益は黒字になる

利益には売上総利益・営業利益・経常利益などの種類があります。
売上総利益は売上から売上原価を引いた利益です。 売上総利益を求める際に必要な売上原価とは、製造コストや仕入れなど売上を上げるための費用になります。

業種によって原価に含める範囲は異なりますが、以下が計算式です。
売上原価=商品仕入高-期末商品棚卸高(在庫)
売上原価は商品が売れたときに計上されるのが一般的なため、売上総利益を計算する際に在庫は売上原価に含めないことになります。

つまり、売れ残った在庫が積み上がれば積み上がるほど、売上原価から差し引く期末在庫は増えることになるので「見せかけの利益」は増加していくことになります。

中小企業では「在庫棚卸」を期末時期の年1回しか行っていないところが多く、期末在庫の数量に気づくにくいですが、一番わかるのは「キャッシュが減少」していることです。ただし、在庫が増加している時に運よく借入ができてしまうとキャッシュの動きは表面的な残高でしか分からないために、気づくのがさらに遅くなってしまうのが難点です。

「棚卸」をせずとも在庫の動きは気づくことができる

在庫の増加に気づくにはいくつかの「シグナル」があります。

〇例年の仕入れ量に比べて売り上げが減少している
〇在庫を保有するスペースの空きがなくなってきている
〇営業管理資料が「売上」しか見ていない
〇1年前に仕入れた商品の動きがない 他

いくつもの「シグナル」がありますが、典型的なのは「売上ばかり追って、仕入の動きと連動してみていない」ケースです。 極端な話で言えば「10の売上を作るために100の仕入れを行い、残った90の在庫には目を配らない」ケースです。特に「卸売業」にはよくあります。
在庫を保有する倉庫の状況も見ていないことも多く、売れ残れば保有スペースも必要ですし、過剰在庫の「維持費、運送費、管理コスト」も増えていくことになります。

営業が一番恐れるのは「売りロス」であり、過剰に在庫を保有しスピーディーに納品すれば顧客からのクレームは発生しません。ただし、顧客ばかり見ていては自社の在庫がダメージを受けることになります。

在庫は「現金が化けたもの」と言います。在庫を過剰に持つことはキャッシュの減少に繋がるのは誰でもわかるのですが、実際に在庫にどれだけ目を配れるのかが、健全な企業が否かの分かれ道になることをもう一度念頭においてください。

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