金融機関からお金を借りる際に借入申込書に資金使途を記入します。資金使途には大きく分けて「運転資金」と「設備資金」に分かれますが、多くの皆さんは「運転資金」での借り入れをされていると思います。
では、「運転資金」で借りたお金で設備投資をしていいのでしょうか?今回は借入時と違う資金使途を行うことの是非についてお話しします。
「運転資金」とは何か?これは「広義の運転資金」と「銀行融資の運転資金」の違いがあります。
まず「銀行融資の運転資金」とは「売掛金+在庫-買掛金」の算出式から出される事業運営に最低限必要な資金です。
次に「広義の運転資金」とは「銀行融資の運転資金」のほかに、コロナ融資のような「赤字補填資金」や現預金をストックするための「手元資金」など幅広く意味で使われています。
では、今回のテーマである「運転資金」で借りたお金で「設備投資」をしていいのか?についてですが、銀行側としては問題にはしません。「設備資金」での申し込みの際には当該設備の「見積書」等の提示が必要で、「どんな設備がいくらで、どこから購入するのか」まで細かく指定されます。しかし「運転資金」の場合はどこにいくら払うまで細かい指定は原則ありません。(一部例外はあります)
つまり、運転資金でトラックを買っても銀行としては問題視しません。
ただし、問題になってくるのはむしろ「借りた側」になります。そもそも「設備資金」は当該設備の償却期間に応じた返済年数が必要で相応に長期間での返済期間の設定がポイントになります。そもそも「設備資金」の返済原資は「キャッシュフロー+減価償却費」になり、減価償却期間と返済期間の一致は絶対条件だからです。
例えば、償却期間「10年」の設備を導入する際に銀行から運転資金「5年返済」で借りた場合、そもそも減価償却費を10年で計上するのに、返済を5年で行ったら、返済ペースが速すぎて資金繰りがショートしてしまいます。
つまり、銀行側としては「問題ない」が、借りた側の資金繰りでは「問題あり」となってしまうのです。
逆に「設備資金」で借りたお金で、実際には設備投資をしないで「運転資金」に流用した場合は「資金使途違反」となりNGになります。NGとは「即刻全額返済」となり、その銀行とは融資取引が出来ないことになります。
前述の通り「設備資金」は厳密に資金使途を問われますし、融資日に銀行が購入先に振り込みを行い、その振り込みのエビデンスを稟議に添付することが条件になっています。
「運転資金」とは便利な広義の意味で使われていますが、実際に借りる側としては「資金使途」に応じた借り方が必要になることを覚えておいてください。